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とある殺し屋の過去

 






この話は、今より随分と昔の話。まだ彼女が、友人と呼べる者に出会っていない時期にあった話。彼女が地球に訪れる前の、ある王女が自国から地球に逃げる前に起きたある事件の話。
「ん……! こ、こは……?」
 ゆっくりと、闇から意識を覚醒させた金色の闇。彼女は現在、奇妙な一室に十字で拘束されていた。
 何が起こったのか、ここはどこなのか理解しようと彼女は辺り一面を見渡す、部屋には、自分が十字状に捕らえている機械のようなベッドが一つだけ存在しているだけで、後は何もない。非常に殺伐とした部屋だった。
「捕らわれの身、ですか……」
 普通の人間なら、この時点で取り乱すとか、何らかの変化を表情や態度から起こすだろう。だが、彼女はこんな状況でも至って冷静だった。
捕まった。こんな事態に対しても彼女はなんら疑問を抱かない。なんせ自分は殺し屋。依頼とそれに見合った金さえ貰えれば、例え王族であろうと、容赦なく殺害する。冷酷で冷血な血の通っていない殺人鬼。誰かに逆恨みされることなんて日常茶飯事で、こうやって狙われた事も一度や二度ではない。ただいつもと違う所といえば、こうやって無様に醜態を晒しているという事ぐらいか。
「……不覚」
 自分の肉体をトランスで有機物質に変化させ、額、手首、足首、肘、膝、二の腕、太股、腹部を拘束してい部分を破壊し、脱出を図ろうとするが、何かの力が働いているのか、トランス能力を発動させる事が出来なかった。恐らく自分の事を徹底的に調べ上げ、対金色の闇用の拘束具を作り上げたのだろう。その事実に、感情の起伏が薄い彼女の表情に、明らかな憤怒の感情が浮かび上がる。呆気なく捕らわれの身となってしまった自分自身と、それを行ったまだ知らぬ誰かに。
「おや? 気が付いたみたいですネ~。どうでス? 私が開発した対金色の闇特性拘束ベッドの寝心地ハ?」
 彼女が脱出策を考えている時、彼女が閉じ込められている部屋の扉がシュッと軽やかな機械音と共に開き、そこから妙に甲高い男の声が聞こえた。
 その妙に不快感を現す声音に、金色の闇は僅かに眉をしかめる。
「ここはどこですか」
「こ~こは、私のリ~~ズナブルな宇宙船!! そして~、この部屋は、あなた特性の実験室で~ス! 気に言ってくれましたカ?」
「あなたがやったんですか?」
 相手の質問を無視し、比較的冷静な声で彼女はそう問うが、彼女の内心は怒りでどうにかなりそうだった。ここから解放されたらこいつは問答無用で殺そうと考えるほどに。
「YES!! 実にYESと解答しておきまショ~! あなたを捕らえたのも、ここに閉じ込めたのも、拘束したのも、全てこの私! 私がやった事でス!」
 人の神経を逆なでしそうな口調で、目の前の男はつらつらと話す。
「…………何故私を捕らえたのですか?」
 極力目の前の男に返答せずに、彼女は自分の聞きたい事だけを的確に聞いて行く。
「疑問に思いかすカ? 自分が捕まった事がそんなにおかしいですカ? これは滑稽ですネ~。あなた程人に恨まれている人間もいないと言うのニ」
 どうやらこの男は、一々人の琴線に触れる話し方をするらしい。彼女はそう心の中で結論をだした。
「依頼ですヨ。あなたと同じ私も依頼されたのでス! 金色の闇を無力化し、可能なら殺害しろとネ。そして私は依頼を遂行した、ただそれだけですネ~」 
 単純な話だった、自分が依頼を遂行して人を殺すのと同じように、この男は自分を捕らえると言う依頼を遂行したにすぎなかった。
「しっか~シ! あなたを殺すのは決定事項ですが、直ぐに殺すには惜しイ。そのトランスと言う能力を解明したいという科学者の視点でも、その魅力的な体を自由に弄りたいという男の視点でも、是非とも私の研究と発散に協力してもらいましょウ! と言っても、自分は只眺めるだけなんですがネ」
「……えっちぃのは嫌いです」
「ご心配なク! 直ぐに嫌いではなくなりますヨ」
 マッドサイエンティストぶりを遺憾なく発揮しながら男は、金色の闇が拘束されているベッドに付いている機械をテキパキと操作し、何か命令のような物を打ち込んで行く。
 やがて入力が終わったのか、男はベッドから離れて、両腕を大げさに広げながら、楽しそうに宣言する。
「さあ、イッツショ~~~ッタイム!! まずは性欲から発散させてもらいまショウ」
 その言葉の後、金色の闇を捕らえていたベッドから、白く塗られた長さ十センチ程の小さなマジックハンド数十本が彼女の前に姿を現した。
「う……! な、なにをする気ですか」
 そのあまりの数と、何をされるかわからない恐怖に、思わず口から声が漏れる。
「何をされるかは~、自分の体で確かめてくださ~~~~イ!!」
 その言葉の後、彼女に見せつけるように現れていたマジックハンドが、一斉に彼女の体に群がり、その幼い体をそれぞれが持つ五本の指で一様にくすぐり始めた。


「は……はひ!? っひっはははははっはふふふふふっっくふぅぅぅぅぅ!!」

 黒で纏められた服の上から、真っ白なマジックハンドが次々と群がり、彼女のまだ完成されていない体を首から向う脛まで余す所なく滅茶苦茶にくすぐっていた。

「くっくひひひひひひひっ! ふひゃっきゃっあふふふっふふぁあああああ!! く、くすぐりっっ!! きゃは~~~~~~っ!!」

 マジックハンドの動きはまばら、悪く言えば適当で、彼女の体をただがむしゃらに動き回っているだけだった。弱点を狙うとか、敏感な所を探すという行為は一切せず、ただただ機械的に指を動かし続け、手を移動させ続け、まるで自己満足のように金色の闇の肢体を這いまわっているだけだった。

「はひゃっひっははっはあはっははは……! あっくひっひはっっはひっひひひひひひひひひ!!」

 時折腋の下やわき腹といった弱点も刺激されるが、それは結局一瞬でしかなく、彼女は時折跳ねるように笑いこそすれど、その箇所への責めが遠のくと、くすぐりに耐える事が可能となり、歯を食いしばって耐え忍んでいた。成果がでてるかと言われれば、無いといえる程のものであったが。

「おお~~、これはレアな映像ですネ~。あの非道な化物として恐れられている金色の闇が笑い苦しんでいるとハ。これは高く売れますネ~。研究費が出来ますネ~~~」

「はひひひひっっきゃふふふふふふふふふ!! へっへんたいっっいひゃ!? ひゃっはっははははっは……! くっくひっひひひひひひひ!」

 その言葉でこの痴態を録画されている事を暗に悟った金色の闇は、相手に罵倒をしようと思っても、くすぐったさが邪魔をし、言葉が途中で中断し、思わず笑い声を挟んでしまう。
 なんとかこのくすぐりから脱しようと体を捻じったり捩ったりして、動かそうとするも、関節の全てを封じられた状態では、ほんの僅かに体を動かす事すら出来ず、くすぐったさを緩和する事が出来ない。

「ひはっっはひひひひひひひひっっはっはははっはははははははは!! やっっやめっっふひぃいいっっくっくくくくくくくっっくふぅ!!」

 体の各所から襲いかかるくすぐったさに、彼女は成す術なく悶えていた。彼女の口から漏れ出す嬌声と笑いを堪えんとする魅惑的な表情は、目の前の男の目と耳を潤わせ、後々の欲望の発散の糧にされてしまうだろう。

「あっふぅぅぅっふっひひっひひひひひ!! くっっふぁあ!? あっははっはっっ! きひひっひひひひひひひひ!!」

 頬を紅潮させ、キュッと可愛く目を閉じ、眉を僅かに歪めながら、出したくも無い笑い声を食い縛った口から漏れ出すその姿は、幼い容姿に似合わずとても扇情的だった。

「くあっっあふっ! きゃひ! ひぁああっっ! ふひゃっははっはっはっははは……! はっはなしてっくひ! ふぁあっっふっふふうふふふふふふふ!! くぅ~~~~!!」
 
「前戯はそろそろですかネ~。では、レベルを上げて本番行ってみまっショウ!!」

 そう言うと、男は再びベッドに近づき、設置してあったつまみを右に回した。すると、ベッドからさらにニ十本近いマジックハンドが現れ、今度は明確な意思を持って彼女をくすぐりだした。

「っっっ!! まっまっっあっっあははははっあははははははははははははははは!! あはははははははははははははははははは!! やっやあああああ!! いやははははははははははははははははは!!」

 途端に、彼女の反応が激しくなる。今までかろうじて完全には開かずにいた口が。横に大きく開き、開けた口から、彼女を知っている人物が聞けば耳を疑うような大声で笑い声を上げ始めた。

「いやっくぅっぅっくひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! い、いやぁ~~~~!! くっくすぐったっっくすぐったああっはっはっははははっははははっははははははははははははは!! あっぁあ~~~~~~~~!!」

マジックハンドは、それまでのがむしゃらではなく、しっかりと彼女の弱点を見据えてくすぐっていた。腋の下、わき腹、腹部、太股といった。大抵の女性が耐えられない場所は勿論、彼女が弱点としている箇所を笑い方の反応で強引に探し当てては、その部分を積極的に責め立てていく。

「あ~っっははっははあっはははははははははは!! ひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! おねがいっくすぐっっくふぁあああっ! あはっはははっはははははははははあはははは!! くすぐるのはぁああ!!」

 男にそう懇願しても、男は機械を止める気配はない。彼女が苦しみ、笑い悶えるのを楽しんでいるのだから当然といえば当然のことなのだが。

「あっあっああ~はははははは!! ひっっひああああああ!! きゃひっひひひゃああっはははははははっははははははははははははははは!! やめっやめええっっははははははははははは!!」

 全く動かせない二の腕から手首までを、マジックハンドは嬲り続ける。ツーっと二の腕から肘までを順番になぞり、彼女の体に電流を走らせ、ビクビクと跳ねさせては、こちょこちょと指をくすぐる動きに変えながら、二の腕まで戻ってきて、可愛い笑い声を吹き出させ、腕の付け根に戻ってきては、またなぞるの繰り返し運動で金色の闇を苦しめる。

「あふ! はっっはひ! ひぁあっっ! くふぅぅぅっ!! あっやあああっっやはっははははははははははは!! いっぁあああああっっふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 服が守っていない開けっぴろげの腋の下の中でも一番の弱点である窪みをツンツンと突き回したかと思えば、その逆の腋の下ではカリカリと引っ掻くように全体をくすぐってくる。そのそれぞれ違う刺激に、金色の闇は翻弄され、くすぐったそうに笑う。

「そっそんなとこっんひひひひひっっひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! くすぐるのはっっああっっ! 反則っっくっくひひっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! ああははははっははははははははははあはははははは!!」

 わき腹を揉みほぐし、指の腹で震わせる等で責め立て、彼女の柔肌を服越しに刺激した。例え服越しであっても、くすぐったさは凄まじく、お腹の底から笑いを引き起こさせる。

「くひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! いひゃ! あひっっあっははははっははっははははははははははは!!」

 太股をくすぐるマジックハンドは、彼女のスカートを捲りあげ、白い足と純白の下着が露わになった箇所をこちょこちょと責め立て、腹部をくすぐる手も、スカートから中へと侵入し、彼女の敏感な肌を直接刺激する。

「え、えっちいのはっっはひゃ~~~っっふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! きらいっきらいですうふふふふふっふふぁああっはあっははっはははははははははははははははははははは!!」

 お腹を撫でまわされ、太股を摩られ、いやらしい手つきでくすぐり回される度に、彼女の口から苦悶の笑い声が絶え間なく響き渡る。

「直接なんてっひきょっきょぁぁあああっはははははっははははははっははははははははははははは!! 卑怯でふっふふふふふふふふふっふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! あっ~~~~~!! いやっいやああはははははははははははっははははははははは!!」

 膝と向う脛にも、びっしりとマジックハンドは群がり、思い思いにくすぐっていた。その壮絶なくすぐったさに、彼女は眉をさらに変形させ、目から光る物を零しながら、笑い声を上げていく。

「あっぎゃひっぎひっひひひひひっひっいひゃあああっははっははははははははははははははは!! くぁあああははははははははははははははははは!! んっん~~~~~~~~っぁっはっはははっはははははははははっははははははははは!!」

 マジックハンドは、十字架状で拘束され、一纏めにされた足の裏も標的に定めていた。漆黒のブーツを脱がし、公の場に晒された小さくて白い足の裏を、マジックハンドは無遠慮に這いまわる。

「ぎゃははっははっはははははっはあははっはははははは!! あっあしいいいっっいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やっっやああっっやああははははははっははははははははははは!! やははははっっいやあああはっはあははははははははははあはははははははは!!! きぃぃぃっぃっきひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

 弱い所を遠慮なく、絶え間なく責められる激しさに、時折下品な声を漏らしながら、金色の闇は悶笑する。
 土踏まずをくすぐり、全体をさわさわと撫でさすり、ツボをぐっと押し込んでは、弱点を把握し、どこをどう責めれば効率的かを見極めていく。それは彼女をくすぐる全てのマジックハンドに言えた事であり、金色の闇はくすぐりに慣れる事を知らず、逆に段階的に上がっていくくすぐったさに、文字通り喘ぐしか彼女に残された道はなかった。

「あ、あ、っっあああああああああはははっははははははははははっはははは!! き、ついっっふひゃははははははははははははっははははは!! あははははっはははははははは!! だめっだめええええええ!! っぁああ~~~~~~!!」

「どうですか、くすぐりの味ハ? いくら宇宙で最も危険視される人物といえど、所詮はか弱い少女、くすぐりに対して悶えることしかしらない女だったという訳ですネ~」
 男の言う通りだった。今、男の前で扇情的に悶える少女の姿に、殺し屋のイメージを抱く者はいまい。金色の闇といえど、所詮は少女であり、女であったという事である。くすぐりに無抵抗で笑う姿に、冷血さは微塵も感じられなかった。

「あははっははははははは!! あっあは! あははははは! あはははははっはははははははははははは!! くっくぅぅぅぅっっくひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! ひゃはははっはっはははははっはあははははははははは!!」  

「さあ、それでは、少女らしく一度気持ち良くなってみまショウ!! それを繰り返せば、あなたは立派な私の玩具になりま~~~ス」

 男は高らかにそう言うと、またベッドに近づき、つまみを調整した。すると、彼女をくすぐっていたマジックハンドの動きが変化していく。くすぐっていた手の動きが愛撫に近くなり、彼女の平らな胸と、まだ何も生えてない花園にマジックハンドが群がり、彼女の官能を高め始めた。

「ははははっははははははっはっはぁああああああ!! いっっやっ……あん! ひぁっくふっぅううう!! んぁっ! きゃっっくぁっ! んっんあ~~~~~~~~~~!!」

 その性感責めに、否応なく彼女の体は熱を高め、口からは甘い声が漏れ出してくる。胸全体を軽くくすぐったかと思うと、先端の突起を転がすように弄る手の動きに、彼女の女が刺激され、先端が膨らみを見せる。
 股間を弄る手マジックハンドは、純白の下着越しに指全体で撫でさすったり、線を人差し指でなぞったりする陰湿な責めに、下着を濡らすことで体が反応を示す。

「いっっぁっんあ! くっっくぅぅ~~~~~!! えっえっちぃです……このっうごっき……ふぁっ! あん! あっはぁぁああ~~~~!」

 声がだんだん甲高くなり、色っぽい喘ぎ声を上げる。まだそういう事をしらない少女にとって、この快楽責めはあまりに危険で妖しい刺激だった。
 そんな彼女の反応を見て、男はさらにつまみのレバーを回す。すると、マジックハンドが僅かにブルブルと振動を始め、愛撫と性感帯を弄び始め、彼女の嬌声を上げさせる。

「ひぁあああ!! あっっはああっはあああああああん!! くっっああっ! ひああ! あっっあん! やっやああああ! っああっくぅぁぅ! んあっ!! あああああああああ!!」

 一秒経つ毎に、彼女の声は大きくなっていく。そして、振動するマジックハンドが、彼女の乳房の先端をクリっと摘まみ、股間の筋を人差し指で軽く押し込んだ時、それは最高点に達した。

「はあああっいや! くあああっっ!! あっあああああああああっっああああああああああああああ!!」

 彼女の一際大きい嬌声の後、股間から糸を引く液体が零れ出す。彼女にとっての初めての絶頂だった。頭部を含め、全身を拘束されていた為に大した動きは出来なかったが、これが何も拘束されていない場合、彼女は大きく弓なりに体を反らし、ビクビクと痙攣しながら悶えていたに違いないだろう。

「ヒャッーーーーー!! イッたヨ!! イッっちゃったヨ!! 金色の闇がイクのを間近で見ちゃったヨ~~~~~~!! これは高く売れる! 売れるネ~~~~!!」

 そんな男の胸糞悪いはしゃぎ声も、余韻に浸っている彼女には上手く耳に入らない。息を乱し、頬を赤く染めながらハァハァと息を吐く事に夢中で、目の前の男に気が向かない。

「それでは、第二回戦、行っちゃいまショウ!!」

 つまみのレバーを回しながら、そんな事を言う。レバーを回し終え、男が何度目かのベッドから離れると、またもやマジックハンドに変化が現れ、再び徹底的に金色の闇をくすぐりはじめた。

「っっ!? いやっいやああははははっははははははははははははははあ!! まっっまあああっはははははははっはあっはあはははははははあははははは!! まってくだっはっはははっはははははははははははははははははは!! いひゃあああ~~~~~~!! あっああああああああああ!!!」

 余韻に浸っている彼女を、再びくすぐり地獄に叩き落とす。そのあまりの変化に、彼女は泣きながら歪んだ笑い声を醸し出す。そしてその様子を、変わりようを、男は楽しんでいた。

「あっっあああああっはははははははははははは!! っっもうっっもうぅうううっっうひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! くぁあああああっふひゃはっはははははっはっはははははははははは!!」

 もう彼女に助かる道は無いといっても過言では無かった。このまま金色の闇はこの男の研究材料と性欲発散の道具にされる筈だったが、幸運にも天、否、宇宙は彼女に味方した。
 それは、何もかもが突然の出来事だった。金色の闇を苦しめる事に没頭していた男は、最初何が起こったのかを理解出来なかった
 ゴガンッと、耳をつんざく大きな音が船内と彼女達がいる一室に響いたかと思うと、二人がいた部屋が、大きく右に傾いた。
 その後、船が危険であることを知らす警報が船内に大きく響き渡り始め、船内の所々から爆発が起き始める。
「なっななななななな何でス!? 一体何ガ!?」
 それまでの楽しそうな表情は何処へ行ったのか、予想外の事態に一転して慌て始める。小物臭が滲み始めたと言った方が正しいだろうか。
 そのまま男は、右に傾いた部屋を懸命にバランスを取りながら、散々楽しんでいた金色の闇を放って出ていき、何処かへと走り去って行ってしまう。
「ハァ……ハァ……と、止まった?」
 一方、くすぐりで笑い苦しんでいた金色の闇は、男と違って冷静だった。今までくすぐりにしか意識を向けていなかったから、状況を今一理解していなというのもあるかもしれない。
彼女を悩ませていたベッド型拘束具は、先ほどの衝撃で動作不良を起こしたのか、マジックハンドはその場で停止し、所々から煙が吹き出していた。
(! 今ならいけるかも……)
故障した。つまりは機能が封じられた。そう判断した金色の闇は試しに自身の体を兵器に変えるトランス能力を発動させてみた。すると、彼女の狙い通りに、トランス能力が通常通りに発動した。眩しいぐらい光っている金髪が、何枚もの薄く、鋭い刃に変化する。
そのまま彼女は、自分を拘束している頭部と、各関節をその刃で切り裂いていき、ベッドから解放され、待ち望んでいた自由を手にする。
この段階に来て、彼女はようやく今起こってる状況を理解しようと頭を動かし始めた。
(何らかの小惑星が船と衝突でも起こした……?)
 適当に当たりを付けてみるが、見てない限りは判断しようがない。只分かるのは、このまま船に居続けるのは危険だという事だった。
 そう決めた金色の闇の判断は早かった。彼女は、船のどこかに小型の脱出船があると踏み、おおよその見当をつけて、脱がされた靴を履きなおし、バランスに気を付けて走りだした。彼女の思考の中には、男を探すという選択肢はなかった。
 そのまま数十秒程、電気も故障し、暗くなった船内をひたすら走っていた時、彼女が向かう先から、誰かがこちらへと走ってくる姿が見えた。
 あの男か、と、金色の闇は構えたが、顔は分からなくても走ってくる人影は若く、長身で彼女が考えていた人物ではないと結論付け。彼女は臨戦態勢を解き、その人物とすれ違い、一瞬だけ目があったその時、彼女は男の全てを理解した。


「ハッ……ハァ…………!」
 結局、彼女の思惑通りに脱出船が数隻配置してあった。その内の一隻に乗り込むと、トランス能力の応用で、自動で発進させ、その船を後にする。
 そして、安全が保障された船の中で考えるのは、途中ですれ違ったあの男の事。
 その男は、銀河で唯一精神エネルギーを弾丸に変えて撃つ事が出来る黒い装飾銃を操る殺し屋。 
 漆黒の衣装に身を包み、その、まるで不吉を届けに来たかのようなその風貌は――。


 「ああっああああ!! 動け! 治れ! ちくショウ!!」
 そう叫びながら、男はカタカタとキーボードを操作する。その顔に余裕はなく、焦燥と焦りしかない。
彼が操作しているのは、この船の制御を担うメインコンピュータだ。この船は全て自動操縦で運転しており、その全てを任されているのが、今彼がキーボードを叩いて、復旧作業をしているコンピュータだ。これが動かなければ、船の手動操縦が出来ない彼は、そのまま宇宙のゴミとなってしまうだろう。だから彼は、メインコンピュータが動かなければ、脱出船も簡単な命令では動いてくれない。だから彼は脱出船がある方に向かいはせず、メインコンピュータの制御に向かったのだ。
 だが、コンピュータは依然として沈黙を保ったままで、船は既にいつ爆発してもおかしくないほどにまで、危険と化していた。
「早ク!! 早ク!! クソ、なんでこんな目に、金色の闇の裏ビデオを売りさばいて、金を荒稼ぎして、研究や女に使えると思ったのにヨ!!!」
「へえ、そいつは悪かったな」
「っっ!!?? 誰ダ!!」
 予期せぬ声が男の耳に響き、反射的に後ろを振り返り、声の主を確認する。だが、それが男の、最後に見た人間だった。
「お、お前は……!? まさか!! ク――!」
「            」
 彼が何かを呟いたと同時、タンっと小気味よい音が響いた。それは、彼が手にしていた装飾銃の発砲音で、銃声と共に、男は何かを言いきる前に額から血を流し、力なく床に倒れた。
「……依頼遂行……か……」
 男の死亡を確認した後、彼を殺した男は、来た道を引き返していく。それから五分後、船は、衝撃に耐えきれず大きな爆発を起こし、跡形も無く消滅した。
 

 宇宙船の中から、金色の闇は爆発を目にしていた。
 何が起こったのかは知らないが、どうやらすれ違ったあの男がなにやら関係していたようだ。だが、それに対して、彼女はなんら疑問を抱かない。恐らく殺しのターゲットにあの男がなったのだろうと適当にあたりを付ける。 とりあえず、何はともあれ、自分はあの地獄から脱出することが出来た。その点だけは、あの男に感謝してもいいだろう。だが、やはり、
「えっちいのは、きらいです」
 彼女が今回体験した事は、今後彼女の生活に何らかの影響を及ぼすかもしれない。



あとがき

ここまで読んで下さってありがとうございます。

急展開すぎとか、世界観ゴッチャとか、原作読めよとか、口調おかしいとか言われそうですが、色々と頑張りました! ……がんばっただけじゃダメなんだよ!

とりあえず、トラウマとするなら、ニュルニュルの方が良かったかな~とか、その辺が雑だなとは思ってます。
              
さあ、次のリクエストの執筆に入るぞ~~!!


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