「はぁ~、こたつって暖かい」
「そりゃそうでしょ。むしろこたつに入って寒かったらそれはもうこたつとは呼べないし」
「しーちゃんしーちゃん。こたつだって電源入ってなかったら寒いよ?」
「揚げ足取ってんじゃないわよ……」
ハァ…、と、嘆息しながらしーちゃんと呼ばれた彼女、シイナはおもむろに窓を覗き、外を見上げた。
「それにしても、雪、止まないわねぇ」
冬も本格的に寒くなってから久しい。が、今日の冷え込みは一段と酷い。なにせ天気予報での最高温度がマイナスを記録しているのだ、寒くない訳がない。おまけに雪だ。雪はなんとなく寒いという感情を助長させる。こんな時は大人しく家に篭り、暖かい部屋で寒さとなるべく無縁な環境で過ごすのが一番。なのだが、
「そうだね~、朝からずっと降ってるもんね~。それなのにしーちゃん、家に遊びにくるんだもんな~」
何を思ったか、このシイナと言う少女。よりにもよって、この冬一番の寒さと言われる日に、白い雪が絶えず降り続いている日に、歩いて二十分近くかかる自分の家に遊びに来たのだ、そりゃ感嘆もするし呆れもする。さらに言わせてもらえばこの雪だ。自転車なんて使えないだろう。つまり完全に徒歩でここまで来たと言うことになる。非常にご苦労様でしたな~と、彼女は心の中で付け加えた
おまけにその時の服装が上は冬らしい厚着をしていたものの、下はチェックのプリーツスカートと黒のニーソックス&ブーツと来たもんだ。お前はどこに行くつもりだったんだと問いたくもなる。
結局問う事はなかったが。
「う、うっさいわね! どうせナナリも暇だったんだから別にいいでしょ! 暇つぶしの相手が出来たと思っておきなさいよ」
はいは~い。と、ナナリは軽い返事でシイナの言うことを流した。その対応にシイナは少しだけ、ウ~、と肩を窄めるが、やがてもうどうにでもなれと判断したのか、それとも開き直ったのか、肩の力を抜き、再びこたつに項垂れた。
その、自分の部屋をまるで自身の部屋のようにくつろぐシイナの様子を対面から見て、素直にナナリは可愛いと思ってしまう。それと同時に服装にも目がいってしまうのは女子高生たる者の性か。
上着はナナリの自室に入った途端脱ぎ捨てたため、今は上は赤を基調とし、どことなく格好良さを醸し出しつつ、しかし女の子らしさを意識させるように随所にレースが配置されてるという、非常にシイナらしい長袖一枚と、隠れて分からないがなんらかのシャツ一枚という姿である。下はブーツを脱いだだけで別段変わりはない。
(気合入ってるな~しーちゃん。別にそこまで気合入れる必要はないと思うけど)
対し自身の服装はピンクのワンピースだ。別に外出する予定はなかったし、誰か来る『予定は』なかったので、比較的ラフな格好で纏めている。
そこまで考えて、ナナリはふむ、と思考することを始めた。
今現在、シイナはこたつに足を突っ込み、体をベタッと机に貼り付けるようにしてくつろいでいる。自身はその対面に座り、同じくくつろぎ中だ。
この時点でなんで彼女は我が家にやってきたのだろうと疑問に思ったが、深く考えないようにしておく。
考えを少し戻す。
つまり、現状、彼女は無防備な状態という事とこれは同義なのではないか? と、ナナリは思慮を巡らす。
そして、自身は今どんな感情を持っているかを改めて再確認する作業に入る。自分は今こんな日でも遊びに来てくれた嬉しさが七割、そしてこんな日に限って遊びに来たことに対する面倒だな~という感情が一割、そして遊びに来たのにまだ何も遊んでいないことに対する不満が二割。
ナナリは対面でくつろぐ彼女の姿を再確認する。シイナの自分と比べてすらっと伸びた、細く長い足はコタツの中に無造作に突っ込んであり、手を少し伸ばせば届きそうな距離であることを改めて確認した。
瞬間、ナナリの表情がニタァっと歪んだ。なにか悪いことを思いついた子供のような表情を浮かべたと言い換えても大丈夫だろう。もしくは、スタイルの抜群な脚をこれでもかと言わんばかりに存分に見せつけられた事による腹いせかもしれない。
とにもかく、そのまま彼女は先程思いついた行動をすぐにでも開始すべく体を動かし始めた。静かに、ゆっくりと自身の両手をこたつの中に沈み込ませて行き、目的地に定めたある場所を目指す。
不幸にも標的にされた場所を管理している本体は、今もまだこたつの誘惑に敗北中であり、ナナリの起こす不審な行動に気づけない。
その姿を見て何か勘繰られる事はないと判断したナナリは、一気に行動に移った。
まず行ったのは、彼女の両足を一纏めにして両手で掴む事。流石にここまですればシイナも反射的に気づくが、もう遅い。
両足を掴んだ状態で彼女は一旦腰を上げ、床と自身の間に僅かな隙間を作った。その開いた隙間にシイナの両足を両手を使って強引に引き摺り込む。突然だったのだろう。足を引っ張られた感覚にシイナはきゃっ! と小さく悲鳴を漏らし、体制を崩して床に背中を軽く打ちつける。あたっ! という声が聞こえるが、ナナリは今は関係ないと決め付け、最後の行動に移る。それは足首周辺に腰を下ろして足を完全に動けなくさせる事。
果たしてその行動は万事上手く進行し、シイナの足はナナリの腰によって動きを封じられ、膝から下を全く動かすことが出来ない様にされた。
「ちょ、ちょっとナナリ! あんた一体何してんのよ! 足離しなさいよ!」
「い~や~。だって今からこうやってしいちゃんと遊ぶんだけど~。こうしないと絶対に逃げちゃうもん」
「は? 何言って、っっきゃふっ!? ひあっん!! な、何すんのよナナっくひゃああん!」
「ん~。何って? こちょこちょだよ~。ほら、しーちゃん寒いんでしょ? だったらこれで笑って、体を温めよう~。こちょこちょこちょこちょ」
クスクスと楽しそうに笑いながら、ナナリはシイナの小さな足の裏をその指でカリカリと引っ掻くようにくすぐり始めた。
「ひあぁあっ!! やめっ!! あひゃぁあああはっはははっははっははは!! やっやめっくすぐりは弱いのっっ知ってるでしょぉおおおおおお!! いやぁああはっははっははっははははははは!!」
ナナリの指は二―ソックスを履いているシイナの足の裏を、滑りを持って這い回った。それは彼女に予期しないくすぐったさの助長が起こった事を意味し、ナナリの自室に入って脱がなかったことを後悔する事に至るが、今更考えても何もかもが遅く、彼女は増長した指の動きに逐一悶えていく。
「やぁああははっははははははははっははは!! 足っっあしがぁあああ~~~~~~~!! いやぁあはっははははははははははは!! 動かせないぃ~~!! くすぐったぃいいいいいいいい!! あははははははははっはははははははははは!!」
「しーちゃんがニーソックス履いてくれてるお陰でこっちはとってもくすぐりやすいよ~。こちょこちょこちょこちょ~。どう、辛い?」
「辛くないわけっっないでしょばかぁああはははっははははははは!! もうやめっっ!! もうやめぇえええへへっへへへ!! ひゃはっははははははははっははははは!!」
「だ~め、やめてあげな~い。それにしてもしーちゃんの足の裏って、とっても柔らかいね~。赤ちゃんみた~い。私もここまでは柔らかくないな~。羨ましいよ~」
「ひはっっくひゃぁああああ!! ふぁっはひゃぁあははははっははっはっははっははははは!! あっ揉むのだめぇえええ!! 弱いっっそれ弱いから~~~~~~~!! あああはははっはははあはっはははははははは!! 足の裏揉むのやめえええええ!!」
ナナリが思ってた以上に柔らかかったシイナの足裏。まるで生まれたての赤ちゃんが持つ滑らかさと柔らかさを内包しているかのようなシイナの柔肌を堪能するように、ナナリは指をグニグニと揉むような動きで彼女を苦しめていく。そのナナリの表情は、僅かに赤く染められていた。
「ひあああ!! ひひっっくひゃぁああはっははっははははっはははははははは!! あっんぁあああん!! ふひひっっあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
足の裏から送られてくる耐え難い刺激に彼女は悶絶する。それと同時に、足を引き抜こうと力を込めるが、ナナリの腰から足を引き抜くことは出来ず、指の刺激を受け続けてしまった。
「あはっははははははは!! くすぐったい!! やめっっ足の裏むりだってばぁあああああ!! あははっははははははははは!! くすぐったいい!! やらっっやぁあああはははっはははははははははは!!」
「くすぐったい? というかしーちゃん本当にくすぐり弱いね~。まだ二本の指でしかくすぐってないのに。こんなに笑うなんてね~」
「わかってるならっっきゃひひっひひ!! ひあぁああなああはっはははっははっははは!! とめっっとめてよぉ~っひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やっいやぁあああ! ひゃああはははっはははっははっはははははは!!」
腕を太ももに回して、腕の力も使って足を引っこ抜き、自分を悩ませる刺激から逃げようとシイナは抵抗するが、笑っている状態ではろくに力が入る筈がなく、その行動は実りを見せず、足は引き抜かれる事はなかった。
「抜けないぃいいいい!! ばかっっばかぁああはっははっはははっはははっはははははは! ナナリのっ! ナナリのばかはははははは!! あ! あっっ!ああっ!! はっははっはっはははっははははははは!! あはははははははははは!!」
「あ! しーちゃん抵抗するんだ~。そんなイケナイ子には、指を五本全部使ってくすぐらないといけないね~」
「ひっ!! まっまって!! まっっあっ!! あぁあああああああ!! っっっぎゃははははははははは!! あはははは!! ひひゃぁああはっははははははははは!! 待ってっ無理っっくすぐったくてっむりだってばぁあああああ!!」
シイナの抗議虚しく、ナナリは指を五本に増やして彼女の足の裏を苛め始めた。その耐えられない感触にシイナはくすぐったそうな悲鳴を上げ、足を引っこ抜こうと腕と足に力を込めるが、抜くことは遂に適わず。また、抑えられないくすぐったさに負けたのか、腕を太ももから放して頭に持って行き。体を仰向けに倒した後、のたうち回りながら身悶え始めた。
「ダメぇえええ!! もうだめっったえられないぃいいひひっひひひひ!! いやぁああははっははははははははは!! くすぐっっくっっくすぐったあああああい!! ああはっははっははっはっはははははははははははははは!! 頭がおかしくなっちゃうぅううう!!! いやぁああああああああ!!」
頭を抑えながら右へ左へと腰を動かし、腰まで伸びてそうな長い黒髪を左右に振って悶え続けるシイナ。既に足を抜くとかそんな事を考えられる程頭は回ってなく、ただただ襲い掛かるくすぐったさをなんとかして逃げ出させようと出来る限りに悶える事しか出来なかった。
「やだっっもうやらぁああはっはははっははっははははははははは!! 足の裏くすぐらないでぇぇええええ!! おねがっっきゃひいぃいん!! ひああっあっああぁああっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! お願いぃいいいい!! あははははっははははははははは!!」
先程から無我夢中に悶える彼女だが、その身体の腰から下はこたつの中である。そんな狭い場所ではくすぐったさを押さえようと満足に暴れる事も敵わない、もし無暗に動けばこたつの柱に身体がぶつかり、痛さに呻くのは自明の理であった。止めようのないくすぐったいという感触の中、足首を封じられ、最も逃がしたい場所を逃がせないだけではなく、自発的に身体を動かす事をある程度制限しなくてはならない状況なぞ、地獄でしかない。
「あははっはははははは!! だめっっだめぇええええ!! いやはははっははは!! あっいやぁあああははっははははははははっははは!! ぷひゃはははは!! くぁあああああああああああ!!」
「しーちゃん暴れすぎ~。もっと大人しく笑っててよ~」
「できないっっ出来るわけないってばぁああはっはっははっはははっははははははは!! だっっやだぁあああはっはははっはははははははははは!! もうやっやっっや!! やぁあああははっはははははっはははははははははははは!!」
シイナは行動の制限を実行してみるも、ものの五秒と持たずに限界に達し、再びのたうち回った。出来ない物は出来ない。彼女は元々そこまで我慢強くないのだ。自分から身体の動きを止めるなんて芸当、達成できる訳もない。
「むりっぃいいいいいい!! むひっひひひひひひ!! ひひゃぁああっはははっははっはははははははは!! く、くくくくすぐったぃ~~~~~~~!! あははははははっははははは!! あはははははははははははは!!」
彼女の柔らかくて肌触りの良い足の裏を全体的に指でコソコソと不規則にくすぐったかと思えば。突然外側から内側へどんどん狭ませるように円を描き出したり、止めたとシイナが判断した次の瞬間には足のツボをグリグリと優しく刺激してくすぐり、彼女の息を詰まらせる。そしてその中で得た情報で、彼女の足の裏で最も弱い部分を探し当てては、徹底的にこちょこちょとくすぐったりもする。その決して慣れさせないように不規則に変化指の刺激にシイナだ出来ることといったら、足の指をクネクネとくすぐったそうに動かすことだけであり、対策と呼べる物は何一つなく。事実として彼女は成す術なく笑い悶えた。
「やめっっもうやめ!! やぁああああはっはははははははっはっはははははっはははは!! あっっあぁああああ!! あひゃははっはっははははは!! ひひゃっ! ぎゃはははははははははははははははははははははははははは!!」
「どう? しーちゃん? 体暖まった?」
「暖まった!! もうじゅうぶんっっっくひゃひゃはははっははっははははっはははっはははは!! 暖まったからぁあああああ!! あははっははははっはははははは!!」
「そうなの~? でもまだ寒そうだから、もう少し遊ぼう~? 子チョコチョコちょこちょこちょこちょ~~~」
「いやぁあああ!! もうやっっもうやぁあああははははっはははははははっはははははははは!! だめっっもうだめぇえええ!! うふあぁああっっふあぁあっっぎゃあああはははっははははははははあははははは!!」
面白いように体を跳ねさせ、逃れられないくすぐったさから何とかして逃げようと頑張る姿に、ナナリが興奮するのも無理はないだろう。その興奮は悶える彼女をもっとくすぐりたいと思ってのものか、もしくは、それとは違う、なにか別の感情か。果たしてそれは彼女自身には区別の付くものではなかったが、とにもかくにも彼女は興奮状態にあった。そしてそれ故に、視界が狭くなっていたのはある意味仕方なかったのかもしれない。
「もうっっもうおこったぁあああっははっははははっはははははは!! このっっこのぉおおおおお!! いひゃぁあはははっははははははははははははは!! ぷひゃはははっははっははははははははははははは!!」
また、彼女が机の上でではなく、机の下、床で悶えていたのも、ナナリがそれに気づかない理由の一つになった。
ナナリがその事態に気が付いたのは、もう全てが終わってからの事である。
初めに違和感を感じたのは、今まで大声で笑っていたシイナの声が少しくぐもった事だった。だが、それに対する回答を頭が茹だった状態である彼女は見つけ出すことは出来ない。
声はくぐもってこそいるが、相変わらずくすぐったそうな笑い声を上げる声は聞こえるので、そのままお構いなしに足の裏をくすぐっていた時、変化は起きた。
コタツを挟んでの対面で悶えていてた友人が、突如として目の前に現れた。強引に潜って来たのだろう。チェックのスカートは大いに捲れて太ももやらその先の危険なモノやらがおおっぴらに曝け出されていたが、シイナは気にすることなく、次なる行動を開始する
「っえ?」
素っ頓狂な声を上げるナナリをよそに、シイナは驚いて体を硬直させている彼女を優しく床に押し倒す。その反動で腰が宙に浮き、彼女の足が自由になる。それをシイナは見逃さない。即座に足を抜いて、自由になったかと思うと、そのまま彼女の体にまたがり、馬乗りの姿勢をとった。これによって、彼女の大げさな動きを拘束する事が出来る
「はぁ……さっきはよくも、やめてって言っても……、やめてくれなかった、わね……はぁ……」
辛い拷問まがいの事から開放され、体を整えるように息切れを起こしながら、シイナは彼女の細い両腕を左右に開けさせて僅かに開けさせた。そして彼女の肘の部分に自身の膝を乗せ、腕を封じることに成功する。
「ちょ!? しーちゃん!?」
驚き、僅かに声を荒げるが、その表情はどこか恍惚としており、これから何をされるか不安半分、期待半分といった表情でナナリはシイナを見上げる。見上げた先にあるシイナの整った顔は紅く火照っており、息切れしている様子も相まってどこまでも扇情的であった。その紅潮がこたつによる物なのか、それとも別の物なのか判断しづらいものであったが、どちらにしてもそんな表情を今、自身に向けられている。その事に思わずドキッと胸の高鳴りを彼女は感じ、さらに頬を上気させてしまう。
「ナナリ~。私はもう充分暖まったけど、あなたは指しか動かしてないから、とっても寒いんじゃないかしら。だから、私が暖めてあげる。あなたが私にしてくれた事と同じ事をして、ね」
その言葉の後、シイナの手が、ゆっくりとナナリに恐怖を与えるようにワキワキと指を轟かせながら近づいてくる。標的は、おそらく腕を封じられた為に防御する術をなくしたアソコだろう。
そして、シイナのその行動で、ああ、やっぱり。と、ナナリの心のどこかでそんな声が聞こえた。そのまま今から何をされるのかを想像して、心が浮き足立った。
抵抗出来ない状態でソレをされたら自分は一体どうなってしまうのだろう? どんなに苦しいのだろう? どんなに、気持ち良いのだろう?
ハッ! と、そこまで考えてナナリはある結論に達した。
(そっか~。あの時の興奮は―――)
心の中で言葉を言おうとしたその刹那、自身が待ち望んだ刺激が体を刺激し始めた。
「きゃっひぁあああああああ!! あっあぁあああああ!!」
「今からたっぷりと暖めてあげるんだから」
彼女が結論を決める前に、その事象が訪れる。
「きゃっひゃひっっひぁああああん!! やめてっっしーちゃんっっくぁっ! ふぁあああん!! あっあああ!! ひぁああああははっはははっはは! くすぐったいよ……ぁん!! あっひゃぁあああああああん!!」
「ナナリ、あんたも随分くすぐったがりじゃない。まだ脇を優しくしか触ってないわよ?」
「ひゃぁあああ!! ひあっっくぁあああああああああ!! やめっっやめてぇ……!! あっあぁあ~~~~~!! くふっくっくぁん!! んあぁああああ!! ひゃめぇえっっうひひひっひひ!! ひっひひぃいいいいいい!! くあっいやぁああん!!」
「そんなに脇が弱いの?」
「弱いっっよわいよ~~~~~!! あっあぁああはっははは!! んあぁあっっきゃぁあああん!! ひくっっくひひ!! ふぁあっっん!! んっん~~~~~~~~~~!! だ、っめぇえええっっ!! あっあぁああああ!! あはははははははは!! はひぁあああん!!」
「そう、ならもっとくすぐってあげる。弱点をくすぐった方が体も暖まるしね」
「やめっっやっひゃぁあああああああん!! ああっんひゃぁあああああ!! ひあっっび、敏感だからぁあっ!! やめっっひゃひっひひひひ!! そこだけはひゃめぇえええ!! ひあっっくあぁあああああああああ!! んあぁ……!! あっやぁ~~!!」
シイナは彼女の上にまたがり、腕や足などを使っての抵抗を完全に無駄にさせた上で、女の子が一番敏感な場所とされている腕の付け根、その部分を重点的に撫で回していた。その責めは優しく、指の腹で付け根の周囲をモゾモゾと撫で回すだけであったが、その効果は彼女の反応を見るだけで瞭然である。まだ服越しなのに、この悶えよう。これが直接やるとか、もっと激しくすればどうなるかとか、考えただけでナナリの頭に彼女の姿が創造され、その姿を想像しただけで顔を赤らめてしまう。その淫らな姿を、早く見てみたいと思うのは、女である自分が考えてはいけないものなのか。
「はひっっはひぃいいいいいいい!! あああっっくふふふふふ!! ふひゃぁああっははは!! はひぁあああああん!! んあっっきゃひっひひ!! ひあぁああっっあああっっ!! ひゃううううううう!? うひゃっっあっあひぃいいいい!!ひっひぃぃいん!!」
自分より小柄な彼女が、なんとかして自身が施している腕の拘束を解こうと四苦八苦しつつ、目を瞑り、眉をたれ下げながら笑いを堪えようと頑張る姿はどうにも扇情的で、エロチックだ。どちらも達成が困難であるという事が、それに拍車をかけているのだろう。腕はどうしても解けず、それでも抵抗する姿はどこまでも悩ましい。また、閉じた口からはくすぐったそうな喘ぎ声が漏れ出しており、これを淫靡と言わずして何と呼ぶのだろう。
「んひゃっ!! ひゃひひっひひひ!! ひあぁああっははっははは!! やっっやぁあああん!! くすぐっったい……っ!! あん! ぁあっっくすぐったいよぉ~~!! んひっっくっくっくくくく!! やっやぁああああ!! あっひゃぁああああああ!!」
「ほら、まだこちょこちょなんてしてないのに笑わない! サワサワで笑ってたら後がもたないわよ。ほら、我慢して」
「無理だよぉ~~~~~!! 我慢なんてできなっっひょわぁああああ!? あっあああ!! やっひゃらっっひあぁああああああ!! あっあぁああああ!! はっははは!! あはぁあああっっははは!! あんぁあああ!! んぁああん!! やっやぁあああっっだめぇええええっっくすぐったいいいいい!!」
シイナは馬乗り状態でくすぐっているため、ナナリは体を暴れさせることも満足にできず、ろくに動けない状況でくすぐられていた。その状況と少し酷似した事を自身は先程に体験したので、その辛さは押して計る事が出来る。だが、シイナは彼女の上からどこうとはしない。その心は自身が味わった辛さを彼女にも体験してもらおうという魂胆か、あるいはもっと彼女の悶える姿を間近で見てみたい、独り占めしたいという思いがあったからか。
「あひゃぁああああああん!! ひゃっっひゃぁああっははっはははは!! もう駄目だよぉおお!! だめっっだめぇええええ!! くすぐっっきゃぁあああははははは!! んふふっっふあぁああ!! あっあああ!! あぁあああああん!! いっいやぁああああん!!」
顔を真っ赤に染め、まるで子どものように首をイヤイヤと振り、肩にかかる程度で切り揃えられた茶髪を振り乱して身悶えるナナリの姿にシイナは体の奥底がどことなく熱を帯びたのを感じた。それがなんなのか彼女は理解が出来なかったが、この行為を続けていれば自ずと分かるのではないかと決め付け、行為を続行することにした。
「はぁあああああっっ!! あっあぁっっくふっ!! ふひゃぁ~~~~~~~~!! ひゃひっっっひゃははっはははははは!! だ、めぇ……!! 脇っもうっくすぐっちゃらめぇ~~!! あっあん!! はひゃぁはっははは!! やぁああああああ!!」
涙目で、笑いを堪えきれない悶え声を出しながら必死に懇願するナナリの姿に、シイナの口から熱い吐息が零れ落ちる。押し倒されていて、腕を頭上で固定されていて、なおかつ自身の思い通りに身悶えてくれる少女の姿は、例え女であっても劣情を感じてしまう。押し倒した人間が親友であれば尚更だ。
「んひゃひひひひひひ!! っっやめてっっやめぇええええへへ!! あっっあぁあああああああ!! 脇っっ脇はもぅう~~~~~~ふふふっふふふふ!! ふあぁああっっふひゃはははは!! あははは!! あっああぁあああああ!!」
だから、シイナが心の限界を向かえたのも、ある種仕方なかったかもしれない。もっと彼女が淫らに悶える姿を見たいと思っても、誰も攻めようがないのかもしれない。そして、ここにはその誰かがいないというのも、その思いにブレーキを掛けなかった原因なのかもしれない。
そして、一度走動き出したエンジンはもう止まらない。ブレーキを掛けることを忘れた車がする事といえば走るだけだ。燃料が切れるその時まで、ひたすらに、止まる事無く、走るだけ。
「ねえ、ナナリ。辛いわよね?」
くすぐる手は止めずに、聞く
「つ、辛いに決まってるよぉおおっっんあぁっっきゃひひひっっ!! 分かってるならっっとめっっやめぇえええ~~~~~~~!!」
「そうよね『笑わないように我慢するのって、辛いわよね』」
くすぐりの手をほんの少しだけ強くしながら問いかける
「っ!? ち、ちがっっそっちじゃなっ! きゃひゃぁあああああああああ!? あっっひゃふふっっくひゃはははは!! あっあん!! あっあ!! ひゃぁぁああああ!!」
「ごめんね。今まで辛い思いをさせてきて、でももう大丈夫。今からはそんな辛いことなんかしないから。あんたを楽にさせてあげるから」
「あっだめっっもう限界なの!! これ以上っっきゃふふふっふっ!! んふふふふふ!! これ以上っっんひゃはははは!! されたらっっ私!! もうっもうぅ~~~~~~~!!」
「それじゃあ、行くわね」
くすぐる手を一旦止め、彼女のわきの下。その中心に指をあてがう。それだけでビクンとナナリの体が跳ねる。どうやら今までのくすぐりで体が非常に過敏になってしまっているようだった。
「お願い! だめっっしーちゃんやめ――――」
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ」
「あっあああ!! あ! あ!!! あぁあああああああ!! ――――はっはっははははは!! あははははははは!! あははははっははは!! ぎゃはははははははははは!! あははははははは!! あっあぁあああああはっははっははははははっはははは!!」
ナナリが言の葉を紡ごうとした瞬間、脇の中心にあてがっていた指をシイナは一斉にこちょこちょと動かした。一本一本の指はまるでそれぞれが別の生き物みたいに轟き、這い回り、彼女の敏感な両方のわきの下を責め立てた。それによって、ナナリは言葉を最後まで言う事無く、とめどなく全身を駆け巡る、笑いたいという衝動に身を任せ始める。
「くすぐったあああああ!! あははっははっははは!! これっ! くすぐったいぃいいいいいいいい!! いやぁあああはっははははは!! だめっっだめだめだめぇええへへっへへへへ!! くすぐったすぎるよぉ~~~~~~~!! いやぁあはははははっははっははっははははははははは!!」
その刺激に彼女は一瞬も耐える事無く吹き出し、シイナが待ち望んでいた大きな笑い声を上げ始める。ピンクのワンピースを着用しているため、服越しからでしか責めることは出来なかったが、その成果は上々といっても差し支えなく、その様子をもっと見たいと思ったシイナは、さらに指の動きを強め、彼女を苦しめていき、自身の欲求を満たしていく。
「あははっはははっははははははは!! やらぁあああ!! こんなのひゃめぇええへっへへへへ! ああぁあはっははははっははははっはははははははっはははは!! くしゅぐったぃいいい!! ぶひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やめっっもうやめてええええええええ!!」
わきの下から絶えず襲い来るくすぐったさに顔を真っ赤にして、耐えられない刺激に眉を限界まで垂れ下げ、逃げ場を求めて首を今まで以上に激しく振り乱し、条件反射で涙をポロポロと零しながらナナリは大口を開けて悶える。
「だめぇええええ!! 無理っ!! 無理だよぉおおっほっほほほほ!! ひっぎひゃぁあはははっはははっははははははははは!!! あぁっっいひゃはははっはっははははははは!! あははっはははははは!! はひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やっやあぁああああああ!!」
無我夢中で脇を閉めようとナナリは懸命に腕を動かすが、シイナは絶対にそれを許しはしない。彼女は、もっと自分の手の中で踊れと言わんばかりに彼女をくすぐる指をさらに激しく動かしていく。ワシャワシャこちょこちょという擬音が聞こえてきそうなほどにナナリの肌を刺激するシイナの顔は、恍惚とした表情を浮かべていた。
「ひゃらぁああははっははははははははっはははは!! わきっっわきがくっくくぁああああはっははっははっははははっはははは!! くすぐったいぃいいいいいい!! だめっっこちょこちょ激しいよぉおおおおおお!! いやぁああはっははははははっはははっはははは!!」
腰を振ることも許されず、腕を動かすことも許可されず、許されるのはその悶絶している表情をシイナに見せることだけ。逃げ場を全て塞がれた状況で容赦無しに送られてくるくすぐったいという感情は、ナナリが想像していた以上のくすぐったさを与えていく。
「ひゃらぁあっひゃはははっははっははっははははははっはあはは!! わきひゃめっっひゃめへぇええへっへへへへへっへへへ!! いやぁああああああははっはははっははあっははははははは!! あははははははっはははっははははっはは!!」
(もっと、もっとくすぐって、ナナリの可愛い顔が見たい)
自分の下で、自身の思うがままに身もだえ、泣き叫び、笑い続ける可愛い親友の姿を見て、そう考えるナナリの思考は、既に彼女をくすぐること意外は何も思いつかず、ただただ彼女を笑わせる手段をひたすらに行使していく。
「あははっはははははは! はっはひゃぁああああああ!? あっあぁああああ!! だめっっしーちゃん!! それもだめぇええええ!! くすぐったい!! や、やっっ!! やぁぁあはっはっはははっははははは!!」
右のわきの下は相変わらずこちょこちょとくすぐり、左のわきの下を親指でグリグリと振るわせながら刺激する。その敏感な箇所から送られる二つのそれぞれ違うくも同じくすぐったいという感触に、ナナリはそれこそ気が狂ったかのように悶えた。
「くるしぃいひっひひっひっひひひひひひ!! くるしいよしーちゃっっひゃぁあはははっははっははっははははははははは!! あっっだめぇえええええ!! もうだめぇええええ!! あはっあはははははははっはははははっははははは!! くすぐったいのが止まらないよ~~~~~~~~~!!」
あどけない容姿からは及びもつかないほどに妖艶に腰を動かしながら、モジモジと身体をくすぐったそうに震わせるナナリ。
そして、彼女を延々と悩ませている原因であるくすぐったいという刺激を、他の事など何も考えずに送り続けるシイナ。
その思考回路は既に危険な領域にまで考え方が及んでおり、今の彼女は、自分の下で悶えている親友を親友と見ず、彼女を自身の持つ性的欲求を満たしてくれる只一人の人間として捉えていた。
「あはっはははっははははは!! あっやっっやだぁああああああはっはははははははははは!! くひゃああああ!! あっんあぁああはははっはははっは!!! いっっいやぁああああん!! ひゃはははははは!! くひゃぁあああああははははっはははっはははははは!!」
ナナリを見下げる瞳はまどろみ、感情を表す頬は熱く上気し、情報を伝える口からは荒い吐息が絶えず吐き出される。
気付けば、腰は僅かに浮き上がり、身体を前に押し倒していく。それをすればどうなるか、彼女自身理解していたのかはわからない。たが、それがどうなるかはわからないのに、やめる気も、とめる気も彼女にはなかった。
彼女の身体は徐々に前へと傾いていく、その身体が目指す場所は、プルンと柔らかく膨らんだ、彼女の小さな唇。
「し、しーちゃっっうわひゃあっははっはははっはははは!! しーちゃん! な、なんでこっちに倒れてっっあはっははははははははは! やっちかいっ顔近いよぉ~~~~!!」
くすぐったさに苛まれながら、シイナの行動に困惑したような声を出すナナリ。それでもシイナは止まらない。ゆっくりと確実にナナリとの距離を詰めていく。その様子に怯えでもしたのか、はたまた別の理由か、彼女は開けていた瞳をキュッと閉じる。
それを機と感じたのか、シイナは一気に二人の間隔を縮めた。もう既に指はナナリの腕の付け根を離れ、今は自身が重さに負けて完全に倒れこまないように、ナナリの頭の横で自身の体重を支えている。そこまでして、シイナが行いたいこと。くすぐりを止めてでも、やりたいこと。それは、
ナナリとの、口付け。
「んッん!? しーちゃっ……、ん……ふっ」
それはナナリにとっては予想外の事象だったのだろう。唇になにか柔らかい物が接触し、それが何かを確かめるために閉じていた瞳を開けたら、同じく瞳を閉じた友人が、さっきまで自分の上で跨っていた友人が目の前にいて、自分の唇を貪るように吸い付いていて、その姿に、その行動に、驚いたような声を上げ、これをもたらしている人物へと何か言おうとしたが、それもシイナの熱いベーゼによって封じられ、くぐもった声をあげるに留まる。
その声を出したのを彼女は見逃さなかった。声を出すということは、口を開けたという事。その隙をシイナは見逃さない。彼女が口を開けたのを見計らって、シイナは強引に、自分の舌を彼女の口の中へとねじ込ませ、彼女の口の中を蹂躙していく。
「んっっん! んっ!? あっふぅ……!」
シイナのその行為に。ナナリは抵抗しなかった。シイナの舌の来訪に最初は驚嘆したように体を震わせこそしたものの、その後はなんの抵抗をすることもなく、むしろシイナの動きに付いていくように、より密着させてくるように、お互いに舌を絡ませ合っている。その事実を、たまらなく幸せだとシイナは感じ、その幸せをもっと頂戴すべく、激しく交じわせていく。
ネチャッピチャッと、いかがわしい音を立てながら、唾液を零しながら、ナナリの自室で行われる二人のアブナイ行為は続く。頬を赤く紅潮させ、互いに互いを求め合うように、二人の時間は過ぎ去っていく。
「う~、何であんなことしちゃったかなぁ~」
時は過ぎ、もう夕方に差し掛かろうとしている時刻。ナナリの家から自宅に帰路についている途中、そんなことを彼女は呟く。
シイナが欲望を暴走させてからの数時間。二人はくすぐりとキスを繰り返し、互いに気持ちよくなった所で正気に返り、気まずい空気が部屋を包んだ。それに耐え切れなくなったシイナがそのままそそくさとナナリの家を後にし、現在に至る。そして今、あの時の自分の行動にちょっとした自己嫌悪に陥っているという訳である。
「は~、どうすればいいんだろう……」
「はぁ~。どうしよう……」
同時刻、ナナリは自室にて、未だ雪の降り止まぬ空を見上げてそう言葉を口にした。続けざまにこう放つ。
「「明日、何を喋ればいいんだろう……」」
奇しくもその言葉は、シイナも発していたのだが、それを知る術は彼女にはなかった。ただ一つ言えることは。
彼女たちの友情は、発展こそすれど、崩壊はしないという事だけである。
さて、また数日後にお会いしましょう、おつんでれ~
そろそろフェレット以外のワラキューキャラもメインで書いてみたいなぁ