中学二年生であり、生徒会長でもある少女、ルミは現在ある事で悩んでいた。
(う~ん、どうすればヒナさんを更正させる事が出来るんだろう?)
ルミがいる場所は、生徒会室。日も暮れて、太陽がそろそろ沈み始めた時間帯である。
他の役員を先に帰し、その過剰すぎる責任感故に一人学校に残り、溜まっていた書類を片付けながら、彼女はぼんやりとそんな事を考えていた。
ヒナ、というのは、ルミのクラスメイトであり、学年で一、二を争う不良でもある。
学校を途中で抜け出すのなんか当たり前、授業は聞かない。少しの事で怒る。学校に来ない日の方が多い、金髪、もう下着見えてるんじゃないのと錯覚するぐらいのミニスカートといった、不良の何たるかを全て詰め込んだような少女である。
そんな彼女の事を一心に思い、何とかしてまともな学校生活を送らせてあげようとルミは考えているのである。
勿論、考えているだけではない。何度か実行に移した事もある。
一緒に遊ぼうと誘ったり、一緒に帰ろうと誘ったり、積極的に行事に参加させるように説得したりもした。しかし、その行動に対して返ってくる返事はいつも「うざい」「一人で帰ってろ」「私は参加しない」といった否定の言葉だけであった。
それでも、何度否定の言葉を吐かれても、ルミは彼女の事を諦めようとはしなかった。友人に何度ももうやめたらと忠告された。気弱なあんたじゃ無理だとも言われた。これは学校や親の問題だとか、ヒナ自身の事だから放っておきなよとか、散々言われた。でも、そんな事はルミ自身どうでもよかった。ルミはただ、彼女を更正させたいだけなのだから。
何故そこまでやっきになるのか。そう言われた事もあった。確かに、そんなに必死に更正させなくても、ルミ自身の運命は回る。あと二年も経たずに、ルミとヒナの関連性はなくなる。友人でもない。知人でもない。そんな彼女に、どうしてそこまでルミは必死になっているのか。
簡単である。ヒナの為だ。このままいけば、ヒナは孤立する。不良仲間の中では人間関係を作っているかもしれないが、このクラスでは間違いなく孤立してしまう。それだけはあってはならないのだ。そうなると、今後絶対に、彼女の人生に何らかの変化が起きてしまう。悪いほうに転がってしまう。
それは家族関係なり、仕事なり、高校、大学生活なり、色々な事が、彼女に牙を剥くかもしれない。
それをさせない為に、そうならせない為に、ヒナは彼女に良い学校生活を送ってもらう為に、ルミは彼女を更正させようとしている。元の道に戻そうとしているのだ。
ただ、その肝心の方法が思いつかない。今までの方法では、ヒナは絶対にこちら側に魅力を感じない。ならば、どうしたら良いか、どうすれば、ヒナはこちら側に興味を持ってくれるか。魅力を感じてくれるか、不良から、抜け出してくれるか。
その方法が、彼女には分からない。
そんな事を考える内に、気づけば辺りはすっかり暗くなっていた。取り掛かっていた書類は、全て片付いていた。
夜、帰宅して連絡もせずに遅くなった事を家族に謝り、夕食や風呂を済ませたルミは、居間でボーっとテレビの画面を見つめていた。
画面に映っているのは、バラエティーとも健康番組とも、見方によってはドキュメンタリーとも取れる番組だった。
しばらくそれを所在なさげに見ていたルミだったが、番組のゲストである医療関係者のある一言を聞いた途端、急に椅子から立ち上がりおもむろに叫んだ。「こ、これだーーー!!」と。
翌日の放課後、ルミは、生徒会の仕事を休み、ヒナを屋上に呼び出した。
勿論、それで来るとはルミは思っていない。そう思っていた段階は、とうに過ぎた。
だから今回は、ほんの少しだけ嘘をついた。簡単に言うと、ヒナの不良仲間の一人が呼び出したように偽装した。そうすれば、ヒナは間違いなく屋上にやってくる。
後は簡単。屋上の扉を開けた一瞬の無防備をついて、柔術で押し倒す。護身用に習っていた柔術がこんな所で出番が来るとは思わなかったが。
(さあ、正念場だぞ、私)
息を整え、呼吸を正常に戻し、扉が開くのを待つ。
時間にして、彼女が扉の前に張り込んでから、四分が経過した時だった。
ギギィっと、鈍い音を立てながら扉が開いた。扉から姿を現したのは、肩まで伸ばした髪を金髪に染め、制服を着崩し、スカートは極限まで短くし、女子の平均よりやや大きい胸の谷間を見せている不良少女、ヒナであった。
「ちょっとレイ~。こんな所に呼び出して何――をぅっ!?」
何かを言おうとしたヒナであったが、その言葉はルミの行動によって途切れてしまう。
ルミは、ヒナが出てきた一瞬で彼女を押し倒し、固めた。無論、しっかりと頭に手をやり痛がらないよう丁寧に、しかし確実に動きを封じた、これからの行動に必要な片手を開けて、腕一本と二本の足を使って。
「なっ!? サキガツミ!? い、一体なんの真似を!!」
成す術なく押し倒されたヒナは、ジタバタと暴れるが、固められた体は一向に動こうとしない。
「ヒナさん、私、ようやく分かったんです。ヒナさんを更正させる方法を」
そう言いながら、ルミは彼女を押さえ込むのに使っていない片方の手を使って、ヒナの体をモゾモゾとまさぐり始めた。
「はふぁっ!? っくっふぁっっ! な、何してっっんふ! ふっひっひひひ はっっはなっせへへっへへっへへへへへ!」
「人と人が分かり合う一番の方法は、くすぐる事らしいですよ。テレビで言ってました」
笑顔を浮かべながらそんな事を言い放ったルミは、動かせなくしたヒナのブラウスの上から指を動かし、くすぐったさを与える。
「ふぁぁっはっはひっひひひひひひひひ!!! やめっくぅっきひっひひっひひひいは!
あんたとなんか、仲良くなっっなはぁぁあああ!! なりたくないっっっふふっふふふ!!」
まだ大笑いする程の刺激ではないが、耐える事もできないくすぐったさに、僅かに笑い声を洩らしながら、ルミに抗議する。
「あっふぅうう!! …………っくぅっあは! はっひっははは! くっくくくくくくっくっくふぅぅ……。わ、笑うもんか……くっくすっくくくくくく!! ぷっひひひひひ」
「ヒナさん、どうして一人でいるんですか? そりゃ他クラスに一人や二人の友人がいるみたいですけど、そんなんじゃ、いつか……いつか一人になってしまいますよ?」
「あっふっふふふふ! ひっひひひっっ一人じゃ! な、……いっっんふっふぁあ! くっっははは! 絶対笑うもんかっっあぁあっはひひひぁぁああ!!」
「私、心配なんです。このままじゃ、ヒナさんはいつか一人になってしまう。そんな気がして仕方がないんです」
「きっひぁぁあっっふぁあああっははははははははは!! そんなっっそっほぁぁああっはひっひひひひっひひひ!! そんな事ない……きゃふふっふっふふふふふふ!! はっっはなせええええ!!」
ルミから送り込まれるくすぐったさに、ヒナは身を捩って抵抗し、腕の中から逃げだそうとするが、体はしっかりと柔術で固められており、脱出を許さない。
「くはっはははははははははははは!! いい、加減にひぃぃいっひひひいひひっひひひひひひ!! しっなはぁああっはははっはははははははっは!!」
おまけに、腕から這い出ようとする動きを見せれば、ルミはくすぐる手を強め、さらなるくすぐったさを与え、抵抗しても無駄だという事を身を持って知らしめる。
「ひぁっぅうふふふっふふふふふふふふ!! くひゃっっあふぁあっはひひひひひひっひひひひひひ!! やめっっやめえっへへっへへっへへへへへへ!!」
強くなったくすぐったさに、明確な笑い声をヒナは出して、その凄まじさを表現し始める。
「どうして、私や皆を拒絶するんです? 私は只、ヒナさんと友達になりたかっただけなのに……」
「そっっそんなものぉぉっっきゃはははははははははははははは!! いやはははっはははっははははははは!! いらなっっいらないいいっひひひいひひひゃひゃひゃひゃひゃ!! くるひぃいいひひひっひひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
ルミの問いかけに、笑いながらも応対するヒナ。
「くすっくふふふふっふふひゃぁああっはあっははははははあ!! くすぐったいんだよぉおおっはっはっははははははははははは!! も、もうはなせええっへへっへへへっへへへへへへへへ!!」
女子中学生の敏感な柔肌をくすぐられ、その度に反応する肢体の反応を見て、最も激しく反応するようにルミは随時くすぐりの手法を変えていき、的確なくすぐったさを与えていく。
「きぃぃぃぁあぁあははっははっははははははは!! やめっそれやめろぉぉぉっっはっはははははっははははははあっはは!! くすぐったいんだってばぁあっはっはっはははははははははははは!!」
白いブラウスに隠された腋の下をグリグリと弄ったかと思うと、わき腹を揉みに掛かる。その変化するくすぐり内容にヒナは喉を震わし、笑い悶える。
「きゃあああっっひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! うひゅ~~~~~~ひぁああっっくっっくひひひひひいひひひひひひひっひひひっひひ!! さ、さきがつみっもうやめっへっへへひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「『さきがつみ』じゃなくて、ルミって呼んで下さい。呼んでくれないと……こうです!」
「っっにゃひーーーー!? ふぁああっっひひゃああっははははははっははははははははっははは!! キッキクぅぅぅっふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! それ、むりひひひひひひひっひいひひっひっひ!!」
そして、その責めに対する反応が僅かでも薄れると、ルミは責めの対象を腹部に変えたり、太股を唐突に責め立てたリ、また腋の下をくすぐりだしたり等して、絶対にくすぐりに慣れさせなかった。
「だっっびゃははっはははっははははははははははっはは!! あっあはっあははっあはははははははははははははははははは!! あ~~~~~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! んあああっっふひっひひひひひひひ!!!!」
これらは、テレビでやっていた的確に相手をくすぐったく悶えさせる方法を参考にしているのだが、元来飲み込みが早いルミは、実際にくすぐりを行いながら、さらにくすぐったく悶えさせる方法を独自で考えながら、それをヒナ相手に実践していく。
「やっっやはああああっはっはははははははははははははあはは!! むりっむりぃぃいいっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! こんなの無理だってえええっへへひひひひひひひひひはははははははっははははは!!」
「ヒナさん、くすぐったいですか? これからどんどんくすぐったくなっていきますよ? 耐えられるんですか?」
「いやはっははっははっははははははははははは!! もうくすぐったくしないでいひひひっひっひひゃあああああははっはははははははははは!! いいからぁあああああ!! 耐えられる訳っっなあはっはあははははははははははははは!! ないからあああああ!!」
ルミの詰問に、笑い苦しみながらヒナ答える。全く相手にしていなかったルミの言葉に、ヒナは身悶えしながらも耳を傾けている。
「くぁあああっははっはははははは!! きっっつっっいいいいっはっはあっはははははっははははははははは!! やめっっやめえええええっへへへひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やははははははははは!!」
これこそが、くすぐりがコミュニケーションに最適だとテレビで言われた部分なのだ。そして、コミュニケーションを取るという事は、人間関係を築くという事。友情を育むという事である。
「ヒナさん、そろそろ教えてくれません? ヒナさんの弱い所」
「い、いわなあひゃああああ!! っはははっあははははははははははははははは!! いわないいいいいいっっ絶対っっいわないからああっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! やっっやぁ~~~~~~~~~~!!」
「そうですか……。なら、ヒナさんの体に聞いてみましょう」
「くふふっふっふふぁあああはははははははっははははははは!! なっっやめええっへへはっははははっはあっははは!! みゃははははははっははははははははははは!! だめええええええっへへへへへっへひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
ヒナは、彼女は気付いているであろうか。彼女のルミに対する話し方が、少しずつ柔らかくなっているという事に。
「ヒナさんのくすぐったい所、どこかな~? ここかな~?」
ルミが最初に定めた場所は、スカートが捲れ上がり、色っぽい黒の下着が見えている太股。乙女にとっては決して触れらたくないその箇所を、ルミはお構いなしに指を立ててこちょこちょとくすぐっていく。
「きっっはあああああっはっははははははっははあっはははははははは!! あっあはははははははははは! どっどこぉおおほっほぁははははははははははははは! どこさわってっっふぁあああああああ!」
「……ここじゃなさそうですね、それじゃ、次、行っちゃいますよ~」
そう言うと、ルミはヒナの引きしまっている腹部を臍を中心に外側から内側へとマッサージするようなくすぐり方で責め立てて行く。
「ふひゃ!? くっっああっはははっはっはっはははははははははは! やっっやだってばぁぁあああっふひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! あっあはっあはははははははははは! ああっはははははははは!」
「う~ん、今一つですね……。なら、こことかはどうでしょう? 女の子は基本耐えられない場所ですけど、ヒナさんはどうですか?」
ルミが次にくすぐり始めた箇所は、ヒナのキュッと括れたわき腹。その耐え難いくすぐったさを与えられる箇所を、ルミは揉みくすぐるように責め立て、ヒナの悩ましい声を引き出させようとする。
「そっそこはぁ~~~っっやはははははっははははははははははは!! いやあああっはははははあっははははははははっはははははははは! ヤダっっやあああっははははははははっはあははははははあはあははははは」
「ここでもなさそうですね。……じゃあ、やっぱりここしかないですね。ヒナさん、行きますよ~~~。こちょこちょこちょこちょこちょ」
擬音を口に出しながら、ルミはヒナの腋の下をくすぐり始めた。それは、服の上からであっても、ヒナを大いに悶えさせる。
「っっふぁああああああああ!! やっっそこはやめっっうひゃああははっははっはははっははっはははははははははははははははは!! やめっっやめええええへへっへへへへへへひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 弱い! そこよわいんだってええっあへへへっはははははっあはははははははははははっはははははは!! いやぁああああああ!!」
「あ! ここですね、ヒナさんの弱い所、じゃあ、今からずっとくすぐってあげます!」
弱点を見つけた事が嬉しいのか、笑みを浮かべながらルミは、腋の下を責める手の動きを早め、さらなるくすぐったさを与えようとする。
「え! やっっやはははっはははははっはははははははははは!! やだあああっはははははっはあっははははははは!! よっっよわいってへっへっへへへへへひゃひゃひゃひゃひゃ!! いってるじゃんかあああははっはははははははっはははははははは!! ぎゃははははははははははははは!! ひぎゃははははははははははっははは!!!」
その責めに、今まで以上に拘束されてる身を振るわせ、自分の体に襲いかかるくすぐったさの度合いを体で表現する。
「やめろっっもうやめええへへっへへっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっははははっはははははは!! るっっるみひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! ルミいいいい!! もうやめてってばあああっはっはははははははははははははははは!! ぐひっひひひひひひゃははははははっははっははははははははは!!!」
あまりのくすぐったさからの解放を願ってかは知らないが、ヒナは遂にルミの事を名前で呼び始めた。
「るみひひひひひっひ!! くすぐったいいいいいい!! くすぐったいからああああっははっはははっはははははっはははは!! もうっもううふふううふふひゃあっはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! 耐えられないからああああああ!! あっっあ~~~~~~~!!」
「ヒナさん! 今、ルミって言ってくれました!?」
「言った、いったからああっははっはははっははははっはははははははははははははは!! もうっっ離してもいいじゃないひひひひひひひひひひひひひひひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! くぁぁっっくはははははははははははははははあっはあはははは!! ルミいいいいっひひひひひひひ!! はなしてえええええッ!!」
泣いているのか、笑っているのかよく分からない声で必死に自分の事をくすぐっている本人に嘆願する。
「それじゃあ、私と友達になってくれます?」
「なっっなるふふふふっふふひひひひっひいいいいいい!!ひはーーーーっはははっははっはははははははははははっははははははは!! なるからあああっひゃひゃひゃひゃっひゃひっひゃっっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」
「無理やりとか思ってません?」
「おもってなひっひひひひひひひっひひゃひゃひゃひゃひゃ!! ないからははははははははははははははははははははは!! もうっくすぐるのやめええっへへへっへへっへえっへっひゃひゃはははっはあはははははっは!! あ~~~ははははははははははははははは!!」
「じゃあ、友達になりたいですって言って下さい」
「わっっわははははははっはあはあはははははっは!! わ、たしはぁあ~~~っっいやああははははっはははっははは!! あ、なたとぉぉっっともだっちにひひひひひひひっひひゃ~~~っははははっははっはははははははははははははははは!! 無理っっむりいいいひっひひひひ!! くすぐったすぎてっっいえっっいえへっへへへへへへへへ!! いへなひひひひひっひひいいいいいひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「…………言ってくれないんですか?」
「言う! いうからああっははっあははははははははっあ~~ははははははははははは!! ちょっとでいいからっっひゃああははっはははははは!! てっってかげんっしてええっへっへっへひゃはははははははっはははあはははははははは!! でないとっ! い、言えない~~~~っっひひゃあああああっぅくひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
「…………、…………わかりました」
ヒナの必死の懇願に折れたのか、ルミは彼女をくすぐる手の動きを僅かに緩め、くすぐる箇所を彼女の最大の弱点である脇の下からも移動し、相対的にくすぐったさを減少させた。
「ふひゃあああっひゃひゃっひゃっっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!! んひっひひひひひひっひぁああはははっはははっはっはははははははは! うくっうくくくくくくくくくくくくっっきひひひひひひひひひひひ!!」
それでも、ヒナに襲いかかるくすぐったさは相当な物であり、言葉も僅かに話せるようになっただけで、歯を食いしばってれば耐えられるようなくすぐったさでは無かった。
「あははははははは! あははははははははははははははははは!! くすぐったいいいい!! ああああっははっはあははははははははっははっははあはははははははあっはあはは!!」
「さあヒナさん、手加減しましたよ? 友達って言ってくれるんですよね?」
わき腹、腹部、太股を適当に往復し、こちょこちょとくすぐりながら、ルミはヒナに問
いかけた。
「ルッルミはぁ……きは! くふぅうぅううっふぁああっははははははははははは!! ルミは私の友達いいいいいい!! きいいあああっはっはははははははははははは!! あはははははははははははははははは!!」
「ヒナさん……! はい! ヒナさんは私の友達です!!」
ルミは、その言葉を聞きたかった。その言葉が、ヒナの口から出た事が堪らなく嬉しかった。
「ひゃああっははっはははははははははあはははは!! くふふっふふふふふふひゃあああっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! いっ言ったあああああっっあははははははははははははっははは!! もうっっやめてえええ!! えひゃひゃひゃひゃひゃ!! ぎひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」
「まだです! 明日から、ちゃんと毎日学校に来て、クラスに溶け込んでください! そう約束してくれないと、こちょこちょは止めません」
「わかった! わかったからああああっっあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! んあっんはははははははははははははは!!いっ行く! ちゃんと行くううううっっうひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! だからっだからあああああああああっ!!」
「……本当ですよ? 約束ですからね」
「するっ約束するううううっっうひゃあああああっははははははははははははは!! あはははっっあははははははははははははは!! あっあっっああ~~っあはははははっははははははっはははははははははははは!! もっっもういやははっはははははあはははははははははは!!! あぎゃっいぎゃはははははははははははははははははははは!!! ああああああああああああ!!!!!!!」
あれから暫く、気が付けば、ヒナをくすぐっていたルミの手は既に止まっていて、柔術での拘束もルミは力を抜いており、その意味をなさなくなっていた。
「はぁ…………っ! ははっっはぁ………………。ふぅぅぅ…………」
くすぐりから解放されたヒナは、失った空気を取り戻すように深呼吸を繰り返し、体調の回復を行っていた。
「ヒナさん、くすぐりはどうでした?」
「はぁ……はぁ……最悪。もう二度とやられたくない……」
二人は、学校の屋上の地面に座り込み、ゆったりとした会話をしていた。
「でも、そのお陰で少し仲良くなれた気がします。友達って言ってくれて、嬉しかったです」
「あ、あんなの……、無効に決まってるわ……。無理やりじゃない……」
「あ……。そ、そうですよね「…………。やっぱりあんな方法じゃあ……、仲良くなんか……なれないよね…………」
「……………………、…………そうでもないと思うけど? 少なくとも、く、くすぐりがなけりゃ、こうやって話す事も無かったんだし……」
「ほ、本当ですか!?」
「今話してる事がそれの証明なんじゃないの?」
「そ、そうですよね! 私達、もう友達ですよね!!」
「…………なんで? なんでサキガツミは私と友達になりたいの? 私の威厳を借りたいから? それとも生徒会長としての義務?」
「ル・ミ! そう呼んでって言いいました! 後ですね、友達になるのに、理由がいるんですか? ヒナさんと友達になるためには、何か必要な物があるの?」
「そ。そんな物は……、ないけど……」
「でしょ! だったら、もう私達は友達で良いと思うよ、私は。…………それにね、私、嬉しいの。ヒナさんとこうやって話す事が……。こうやって、ヒナさんの話を聞く事が。だって、ヒナさん何も話してくれなかったから」
「…………私と友達になると、高校進学に響くかもね」
「関係無いよ」
「…………私と友達になると、苛められるかもね」
「関係無いよ」
「…………私と友達になると――」
「だから関係ないの! ヒナさんと友達になるのに、そんなの全然関係ない! ねえ、どうして? どうして拒絶するの? 私がヒナさんの友達じゃ、嫌?」
「私は、不良だ……不良には、それなりの居場所があるんだよ。学校は、居場所じゃないんだ……」
「なら、作っていけばいいじゃないですか。一人では難しいかもしれなかったかもしれないですけど、私と二人で、少しずつ、作っていけばいいじゃないですか」
「そんな事、出来る訳……ないって」
「やるんです! どれだけ言われようとも、私達二人でヒナさんの居場所を作るんです! そうすれば、ヒナさんは、将来絶対に笑ってられるんですから!」
「なんでそんな事……! サキガっっ、ルミにとって将来の為になるから?」
「ヒナさんの、友達の為になるからです!」
「――――――っ!!」
「だから、二人で、頑張っていきましょう?」
「………………、……分かった、頑張る。でも、その前に……」
そう言葉を途切ると、ヒナは膝を抱えて座っているルミを押し倒した。そのままルミの両腕を一本に纏め、ルミの頭上に持ち上げ、纏めた腕をヒナは自分の腕一本で押さえつける。
「えっっちょっヒナさん!?」
その突然の所業に、成す術なく押し倒されたルミは、言い知れない恐怖に襲われる。
「頑張る前に、さっきの仕返しをしとかないと、やられっぱなしは、私の性分じゃないし」
「まっっまって、待ってヒナさん!!」
ルミはそのヒナの言葉に額から汗を流す。彼女の発した言葉と、今の状況を照らし合わせると、今から行われる行為は、容易に想像出来た。それが分かっているからこそ、ルミはヒナを説得しようとしたのだが、
「ルミは待ってくれなかったし~。くすぐりに待ったはないのよ!」
「やっやっぱり! っやはぁ~~~~~っいやっいやはははっははははははっははははははっはあは!! くすぐったいいいいい!! ヒナさんっやめっっやめえっへへへひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! おねがいいいいいいいい!! くすぐりはぁあああっっよわっわきゃああははははははははははははははは!!」
説得も無駄に終わり、ヒナの開いた手で上半身をくすぐられ、身悶えし始めるルミ、その様は、まるでさっきの状況と真逆と言ってよかった。
「いやっっいやいやいや~~~~~!! ふひゃははははははははははははははは!!! くふふふふっふぁあああはははははははははははは!! だめっっだめですってええええっへえへっへへへへへへへへへへ!!!」
ウリウリと、楽しそうにルミをくすぐるヒナ、それを耐えきれずに笑い声をだすルミ、一見すると苛めのようにも見えるが、この二人の関係はもう、友人と言って良かった。
後に、この二人は掛け替えの無い親友同士になるのだが、それはもう少し後の話しである。
「ほらほらほら! どこがくすぐったいのか言ってみな! 腋? わき腹? お腹? どこなんだ~」
「ぜっぜんぶひっひひひひひひひひゃはははははっははあはははは!! 全部いやあああああっっやだっっやあああっははははははははっははははははあははははははははは!! くひいいいいいいいい!! んああああっっんひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
はい、ここまで読んでくれてありがとうございました
今回の作品のテーマは強気な子を更生です。まあ上の方にも言ってますが例によってちゃんと書けてるかは疑問なんですがね
さて、このSSは百合で出来ています!
え? と思った方、その疑問は正解です。しかし、自分の考える百合とはこういう物だったのです。間違ってるとは思ってる!
百合なんて初挑戦だったんです! 少しぐらい見逃して下さい! え、無理? 許さない? えと、えとえと。…………、げら子をプレゼントしますから許して>< (ごめんなさいげらくさん。でも、こうするしかなかったんだ)
さて、話を戻しましょう。このSS,自分にしては非常に珍しくハッピーエンドな終わり方をしています。一応ブログ的には先のブレザープレシャーズやサファイアSSがハッピー。というか、絶望的な終わり方をしていないんですが、時系列的に言えば、本作が初なのです。その辺りも初挑戦なので手探り感が強いですね
自分がハッピーを苦手にしているのって、エンディングを書かなければいけないからだと個人的に推測しております。バッドだとそのままひたすら地獄を味わう事となった。とかで終わらせれるけど、ハッピーはしっかりとまとめないといけないから。その辺りも自分がバッドを得意としているのかもしれませんね。というかそうなんだよ。
という訳で、あとがき終了。今回はこの辺にしておきましょう。また数日後に、おつんでれ~~~~
自分のSSのミニスカート率の高さ! そしてパンツ露見率の高さ!