ここはとある国のとある奴隷市場。
親に売られたか、敗戦国の女が捕まったか。それとも全てを失った者が行きついた末路か、そこには男も女も、大人も子供も、全て平等に灰色の布一枚と、両手足首に鉄球つきの枷をはめられていた。
勿論、例外はいる。その奴隷を買う者達だ。布きれ一枚の奴隷たちとは違い。それぞれが違う高級そうな服装に身を包んでいる。
その貴族たちは、喜色な笑みを浮かべながら、市場に陳列されている商品を舐め回すような視線で見回す。商品はその視線から外れようとしているのか、それぞれが身を寄せ合っている。その姿はどうか買われませんようにと神様にお祈りしているような姿を連想させた。
「相変わらず、死んだ眼をした連中しかいないな」
そんな奴隷市場を歩く、一人の貴族の男。名をルーマンと言い、齢四十にして何百億もの資産を有する富豪である。
ルーマンは隣に付いてきている奴隷商人に愚痴を言いながら、売りに出されている少女の奴隷を次々に一瞥しては、自分の求めている商品ではないと判断し、また次の少女へと視線を移動させていく。
「そりゃ、今から売られるって奴らですからね。売られた先でどうなるかも、何となく察しがついてる。目に生気を宿せって話が無理な話ですぜ旦那」
「ふん、こんな目をした奴等は家に連れ帰ってもしばらくしない内に使えなくなる。買って損するだけだな」
「へへ、そういう状態でこそ興奮する裕福な輩共もいるんでさぁ。割とコイツらの買い手は現れるんですぜ」
くだらん、と貴族の男は吐き捨てる。
奴隷は生きた目をしているのが素晴らしい。そんなことすらわからんから数十億程度しか資産を持てないただの金持ち止まりなのだ。と、機嫌の悪そうな口調で商人に愚痴を呟く。
そんなルーマンに対し、へえ。と軽く相槌を打ちながら、商人はルーマンの後ろを軽い足取りでついていく。
「ふん、このザマじゃ今日も私が買う奴隷はいそうにないな」
「いや、今日はちょっと旦那のお眼鏡に適いそうな物が一匹いますぜ」
「ほう? そいつは良い物なんだろうな」
商人の自信を含んだその言葉に、僅かばかり興味をそそられるルーマン。
ここで彼の言う良い物とは、目に生気のない死んだ奴隷ではなく、生気の宿った。生きている奴隷ということである。
奴隷は市場に売りに出される前に、その奴隷がどこへ行っても果てしなく奴隷らしくあるために、商品の質を高めるため奴隷商人が一体奴隷はどういうものであるかというのをその体に教え込んだりしているケースが非常に多い。そのため奴隷はその目に希望を見出していないのが大半なのだ。
しかしこの商人は、目が生きている奴隷を持っていると言った。興味を持つなというのが無理な話である。
「ええ、こいつはあっしも太鼓判を押しやす。さらにアレは奴隷市場に滅多に出回るもんじゃねえ。長年ここで奴隷商人業をやっておりますあっしもアレを見るのは年単位ぶりでさぁ。エルフですよ旦那」
「エルフ? あのおとぎ話に出てくるあのエルフか?」
小さいころに読んだ童話や小説に登場するあの妖精のような生き物が商品として売りに出されている? にわかには信じがたい話だった。
それが顔に出ていたのだろう。商人はその懸念を含んだ表情に気づき、慌てて小走りに自身の売り場へ向かったかと思うと、一人のフードを被せた少女を連れだしてきた。
「その通りでさぁ。コイツばかりは口で喋るより見て貰ったほうが話がはええ」
よっぽどの自信商品なのか、商人は普段以上に饒舌になり、口元を横に歪ませながら商品をルーマンの元に持っていく。
商人は少女を多少強引に引っ張りルーマンの眼前に連れ出すと、少女の顔を隠していたフードを取り除き、先ほどまで話していた存在が目の前にいるという事をルーマンに証明した。
「……ほう」
美しい。それがエルフの少女を見た時にルーマンが抱いた感想だった。
ピョンと飛び出ている、人間とは種族が違う事を知らしめる尖った耳。
所々土や泥で汚れているが、洗えばスッキリとした美しさを備えているであろうことが容易に連想できる綺麗な緑髪。
そしてそれを持つにふさわしい整った顔立ち。
布から覗かせる肌はエルフ特有の物なのか、人間の女性とは比べようにないぐらい透き通っている。
それだけでも彼を唸らせたのだが、何よりも気に入ったのが、その瞳。全くと言っていいほど光を失っていない。自分が今まで手に入れてきた商品は大小あれど多少は濁っていたのだが、このエルフの少女にはそれがない。
まるで生まれたばかりの赤ん坊のような純真無垢な光だった。
何故この奴隷がそこまでの希望を持っているかわからない。だが、そんなものは彼にとってはどうでもいい。重要なのは、光を失ってない事、その一点のみだ。
ああ、いいねぇ。その瞳、汚れのなさ、実に素晴らしい。最高だ。グジュグジュに濁して、犯して、壊したくなる。
思わずルーマンを息を飲んだ。そして、それを手に入れるチャンスを持ってると言う事実に、血が湧きたつのを感じる。
迷う必要は、なかった。
「如何ですか旦那? エルフ族という希少種族が故にお値段が少々他の奴隷どもとは一線を画しますが。その分質は保障しますぜ」
「ふむ、こいつを貰おう。貴様の言い値で構わん」
「え? い、いいんですかい? 希少ですので億は下らん商品ですぜ?」
すっとんきょうな声を商人は上げる。てっきり何千万程度かの値切られ交渉に入ると思っていた商人からすれば、この提案は願ったり叶ったりである。しかしながら、彼は商人のお得意様だ。一応の確認はとっておかなくてはならない。
「構わんと言っている。こいつはいいオモチャになる。たかが億程度でこいつを買える
なら安いものだ」
そんな商人の思惑知らず、ルーマンは懐からいくつかの宝石を取り出し、適当に商人に渡した。
受け取った商人はその宝石を確認しそれぞれおおよその値段を決めつけると、商品との取引額に達している事を確かめ、ルーマンに少女の手枷と足枷の鍵を渡し、取引は終わりだという様に毎度ありーとだけ言葉を残して、次なる奴隷の購入者を探しにそそくさとどこかへ行ってしまった。
そして残された二人は、しばらく互いに沈黙を守っていた。
が、それをルーマンが打ち破る。
「奴隷、貴様の名は」
「……ナ」
「聞こえんぞ、もっと大きくしゃべれ」
「……セフィーナ」
ほう、人間の言語で喋れるのか、と、ルーマンは内心感嘆を漏らす。そして言語が通じるなら都合が良い。さらに壊したくなってきた。
セフィーナと名乗ったエルフの少女には悟られないように彼女に背を向けながら、彼はほくそ笑む。
これは、今日から楽しみだな……。
「ついてこい」
おもむろに歩き出すルーマンにセフィーナは戸惑いながらも、ゆっくりと彼の行く方向と同じ方向に向けてトテトテと歩き始める。
反抗心はなし、か。成程、調教自体はされてるのか、それともただ単に逃げるという選択肢を持ち合わせていないのか、いずれにせよ。面倒な手順は省けるようだ。ならばそれでいい。と、セフィーナが向かってくる様子を見て、ルーマンは歩みを止めることなく進んでいくことを決めた。
「あの……どこに」
「私の家さ……まずは、そのけがらわしい体を洗わんとな。でないと……」
「楽しめるものも楽しめんしな」
時間にしてセフィーナが購入されてから数時間が経過してるぐらいだろうか、彼女は現在、自分の購買主が所有する大きな屋敷、その中の床、壁が白面一色に塗られた、浴室と呼ばれる部屋に裸で一人佇んでいた。
自分が鎖で繋ぎ止められていた部屋よりも遥かに大きく、また比べものにならないぐらい清潔に整えられた部屋に驚きを隠せないのか、視線はキョロキョロといろんな場所を移していく。そんな彼女の最終的な視線の先は、自分一人程度すっぽりと包んでしまえそうなほどの大量の水を溜めこんでいる道具だった。
一般的に浴槽と呼ばれるそれすら知らないセフィーナは、恐る恐ると言った感じでそこに手を伸ばしていく。
水は、彼女がエルフの里で水浴びしてる時の冷たさや、奴隷の時に乱暴に投げかけられた肌を刺すような冷たさを持ってはいなかった。逆に、彼女を優しく包み込むかのような暖かさを持っていた。
水って、暖かい物もあるんですね……。感動するように小声でセフィーナはそんな言を漏らす。
さて、ここでセフィーナはとある問題に直面していた。
つまり、この暖かい水をどう使うか。という問題だ。
(え、ええと、これは……暖かい水を自分にかけて汚れを落とせ、という事なんでしょうか? それとも、こ、この中に入ってもいい。という、ことなんでしょうか。いやいやまさか、そんな厚かましい事やれるわけないじゃないですか)
ペタペタと浴槽の淵など、いろんなところを触りながら、頭の中で入るか入らないかの格闘をしばらく繰り返した後、何かを決心したような表情を見せ、ええいままよ! と、セフィーナは思い切って浴槽にその身を沈めた。
途端、体の芯から暖まっていくのを感じた。思わずほぅ。と嘆息を放つ。
(いい人……ではないんでしょうが……。あの奴隷生活に比べれば、破格の扱いを受けているんでしょうね)
何を考えているのかわからないが、とりあえず身を清めよと言われた。言われたことはやったのでザバァっと、水しぶきを上げ、浴槽から飛び出す。いい水浴びだったと心なしか満足しながら。
さてこれからどうしようか、この部屋から出て行けばいいのかと適当に思案していると、部屋のあちこちから突然ギュイーンという機械的な駆動音がこだました。
一般人ならば風呂場でそんな音が鳴るのをおかしいと捉えるだろうが、人間の事などほぼ知らない彼女に、それは警戒するに値しない音であった。
セフィーナは気づかなかった。風呂に入れという事は、浴室に置いてある石鹸などで身体を洗えという事に、何も知らないセフィーナは気づかなかったのだ。
そして、彼女の購買主は、こうなる事を半ば予感していた。だからこそ、彼女が風呂から上がった事を風呂に備え付けていた赤外線センサーが察知した瞬間、ソレが稼働を始めるようにあらかじめ設定していたのだ。
彼女の背後の壁から、いくつもの穴が姿を見せる。そこからゆっくりと穴から飛び出してくるのは、人間の腕から先を機械的に再現した機構腕、所謂マジックハンドと呼ばれるものであった。手の大きさは丁度成人男性よりも一回り程大きい感じか。
手の色こそ白く塗られていたものの、指先がウニウニと滑らかに動くさまは人間が動かすソレそのものだ。
飛び出したマジックハンドは、背中を向けているエルフの少女のか細い腕を安々と掴み取り、万歳させるような状態で固定させた。
「……え? な、なんですか」
これ、と言葉を続けようとした矢先、マジックハンドは彼女の向きを器用に反転させた。そして事ここに来て、ようやくにして彼女はさっきの音が何なのかを理解した。
「あ……う……」
彼女が見たのは、両腕を掴むマジックハンドの他に、真っ白く、ブクブクし、若干良い匂いを漂わせているものを指先から放出させながらワキワキとイヤらしそうな動きをするマジックハンドに、これまた同じくブクブクとしたものを垂れさせる大きなブラスを持つマジックハンド群であった。
突然の出来事に頭が混乱しているセフィーナ。ただ、何かいかがわしいことが起きそうな予感だけが、彼女の頭を通り過ぎて行く。
その答えは、機械的な音声で自動洗浄システム、起動という言葉が流れたと同時、無数のマジックハンドは一斉に彼女に群がり出したことによって、得られる事となった。
「きゃ!? き、きゃぁあああはっははっははははははははははは! な、なんですかきゅうにぃいいひひひひっひひひひひ!! ひあっっうひゃぁああははははっはははははははははは!!」
何が何だかわからずに怯えるセフィ―ナに向けて、まず手に何も持たないマジックハンドが彼女の身体の至る所に群がり、彼女の柔肌に指をひっつかせ、目一杯動かし始めたのだ。
当然、裸体の彼女にそんなことをすればくすぐったいに決まっている。セフィーナは身体をあらん限り振り回しながら、マジックハンドの指先から送られてくる刺激に悶え始めた。
「ぁああははっはははっははははっははははは!! らめっらめれふぅうううう!! うひゃはははははははっははははははははははは!! くひゅぐっひゃいぃいひひひひひひひひ!! あははっあはははははははははははは!!」
マジックハンドがコチョコチョと彼女の身体をくまなくくすぐる度、笑い声を出しながら、セフィーナは拘束されていない足をばたつかせ、本能的にくすぐられないよう逃げ場を求める。
だが、マジックハンドはその動きを見越したかのように彼女にピッタリと追従し、一秒として彼女の肌から離れることなく、彼女の身体をくすぐり回す。なんでこんなことをされてるのかわからないセフィーナは、只々指の動きに合わせるようにバタバタと踊り、笑い続けた。
「なんでこんなっっなんでこんなぁあああはっはははははははははははははははは!」
拷問用洗浄具、セフィーナを襲っているのはそう呼称されるものだ。
この館の主がこれまで数々の奴隷を買った時に一番最初に与えるくすぐり器具である。要するに、泥などで汚れた肉体を綺麗に洗うと同時に身体をそれなりに作っておけるという道具で、この館の主の維持の悪さが伺える、そんな一品だった。
マジックハンドはその手の指先から出てくる白い泡を彼女にこすりつけ、ブラシによる洗浄の前準備を整えていく、無論、あえてくすぐったさを与えるためにコチョコチョと指を不必要に轟かせながら。
「ヌ、ヌルヌルが、ヌルヌルがくしゅぐっっぐひゃあああははっはははっはあははははっはははっはははは!! それ、ぬるのひゃめええええ!! いやあああはははははははははははははははははははははは!!」
泡は滑る、滑るという事は指の動きがより的確に彼女を襲うという事と同義で、そこから生まれるのは途方もないくすぐったさだ。
徐々にセフィーナの裸体は白に包まれ、段々と隠れていく。それに比例して彼女の呂律の回らなさと暴れっぷりも明らかに増加していた。見た感じもう十分と言った所だが、この拷問マジックハンドの動きはここからが本番だった。
「はぎぃいいいいいいいいいいいいいいいいいッッ!!」
途端、一本のマジックハンドがそれまでの全身を無作為にコチョコチョとした動きから、ある明確な意思を持って動き始める。太もも周辺をくすぐっていたマジックハンドが指の動きをそのままに、とある部位へ向けて不自然な移動を行ったのだ。そのマジックハンドが向かった先は、腋の下。
そう、くすぐったいと特に感じる部位における徹底的な石鹸塗りが始まったのだ。もしくは、そういう体をもった拷問が。
くすぐったさが下から上へどんどんと登って行く感触に身悶えるセフィーナ。わざわざ腋の下から一番遠い部分に位置していたふとももをくすぐっていたマジックハンドをそこに持っていったのだから、セフィーナの主の意地の悪さが伺える。
ふとももからお腹、脇腹、鎖骨とゆっくりと時間をかけて腋の下へと到達したマジックハンドは、手始めにコチョコチョと脇の下を軽くくすぐる。その動きに反応して万歳状態にあげられた腕がググッと、くすぐったさから守りたくて腕を下げようと努力しているのが機械に伝わると、今度は人差し指を立て、腕の付け根の中でも最もくすぐったいであろうと思われる場所、その小さなくぼみをマジックハンドは容赦なくツンツンと突きだしたのだ。
指先からあふれ出る石鹸のヌルヌルによるくすぐったさ数割増加と、大きくあけっぴろげにされた防御不可状態での腋の下こちょこちょ。それが合わさった結果、とんでもない衝撃となって彼女の神経を行き渡り、体全体を震わせる。
「腋ひゃめっっわきやれすぅううっふふふふふふふふ!! あはぁああははははははははははははは!! そこ、そこはぁああああはははっははははははははは!! んあぁあああああああ!! ツンツンしにゃいれぇえええへっへへへへへへへへへへ!!」
突如として訪れた腋の下の強烈なくすぐり攻撃に、これまで以上にいい反応を見せたセフィーナ。地団駄を踏みながら悶える様子は体中に引っ付いている白い泡とも合わさってとても艶めかしい。
その反応を皮切りに、他のマジックハンドも次々に行動を起こし始めた。ただ指を無作為に動かしてくすぐっていたマジックハンド達は一斉にその動きを変化させる。
こちょこちょと轟かす動きから、グニグニと揉み解すような動きへ。
「こちょこちょしないでくらひゃはああッ!? あ、あははははははははははははは!! そ、そのうごきひゃめええええ!! 揉むの、揉むのいやっっあふふふふふふふふふ!! ふひゃぁああん!! いあっいあぁあああははっははははははっはははははははは!!」
その突然の変化に、セフィーナは思わず嬌声を上げ、笑い悶える。慣れてはいなかったものの、このままいけばいつかは少しぐらいくすぐったさが収まるのではないかと思っていたセフィ―ナに、その仕打ちは残酷過ぎた。
指から生み出されるこれまでとは次元の違う新たなくすぐったさはそれまでの耐性を全て吹き飛ばすように襲い掛かる。
両腰をガシッと二本のマジックハンドに掴まれると、ムニムニと彼女の余分な肉のついてない腰を揉みあげる。
それがとてもくすぐったかったのか、彼女は一瞬身体を仰け反らせたあと、大声を上げて笑い始めた。そのさなか、イヤイヤとマジックハンドを振り払うように腰を左右に振るが、マジックハンドは彼女の両腰をガッシリと掴んでおり、決して離れず、逆に逃げようとした戒めとばかりに揉む強さを強化し、さらなる苦しみをセフィーナに与えた。
「こし、こしぃいひひひっひいひひひひひ!! いやぁああああああああははっははっははははは!! ににゃぁああははははっははははははははははは!! もまらいれぇええ~~~~~~!! だめえええっっあはははははははははははははは!!」
両腰から絶え間なく伝わってくるくすぐったさに我慢ならずに身悶える様子を見て、マジックハンドは満足でもしたのだろうか。それまで彼女がどれだけ懸命に振り払おうとしても離れなかったマジックハンドが突如として彼女の両腰から離れたのだ。
セフィーナは訳がわからなかったが。やっと離れたことによるくすぐったさの緩和と、安堵により僅かながら気を緩める。
そのタイミングを見計らったのか、両腰を掴んでいたマジックハンドは、今度はその両わき腹に標的を写し、彼女が気を抜いた一瞬を突いて、再び彼女の身体に張り付き、腰と同じようにグニグニと揉み解し始めた。
「はひぃいいいいいいいいいいいい!? そ、そこひゃめえ! わき腹もらめらんれすぅぅぅう!! うひゃはははははははっははははははははは!! んひゃははっはははははっははははははは!! はひっ!! ひゃはあああ!!!」
自分の弱い部分の一つである脇腹を乱暴に弄ばれ、セフィーナはたまらないと言った感じで甲高い悲鳴を上げた。
くすぐったさが限界なのであろう。腰を揉まれた時以上に身体を激しく振り回す。
が、それが功をそうしている様子はない。どんなに彼女ががむしゃらに暴れても、それがどうしたと語るようにしっかりとわき腹に吸着したマジックハンドは、彼女が嫌がるタイミングで最も嫌いであろうくすぐりを施していく。
フニフニ、グニャグニャとマジックハンドのくすぐる動きに合わせ、彼女のわき腹の肉がくすぐったそうに変形する。それに呼応するかのように、彼女の叫び声と笑い声も、その比を大きくし、マジックハンドのくすぐりが効果覿面であることを身を持って伝えていく。
「そこよわひいいいいいひひひひひひひひ!! まってくらひゃっっくすぐるのひゃめてええええええええ!! いひゃああはははははっははははははははは!!
眉を大きく歪め、大きく開けられた口からとめどなく涎を垂らしながら、セフィーナは笑い狂う。
辛い。耐えられない。狂う。狂って死んじゃう。本心でそう思うぐらいにこの洗浄機のくすぐりは辛かった。
そんな地獄に苛まれている中、またしてもマジックハンドの動きが揉みくすぐりから変化を見せる。
これまで散々こちょこちょと指先でくすぐり、モミモミと揉み解しくすぐりによって今まで散々塗りつけた泡を、今度は掌全体でじっくりと引き伸ばすように、マジックハンドは彼女の肢体を撫でていく。
「ぁぁああぁああああああ!! なれらいれぇ…………優しく撫れるのもひゃめえええっっうひゃはああはははははははははははははははは!!」
それは今までのようなくすぐったさ一辺倒の動きではない。しかしそれでも確実に含まれるくすぐったさと、少しばかりの快感が入り混じった刺激は、彼女の口から甘い声を上げさせるには充分であった。
胴体を撫でている掌の指先が時折わき腹やふとももといったくすぐったいと特に感じる場所を通りかかると、ビクンと無意識に彼女の身体が跳ね上がり、くすぐったそうな声を上げ、胸やお尻と言った気持ちいいと思う場所を触られれば、ひゃんと気持ちよさそうな鳴き声を上げる。
段々とセフィーナは自分の頭がとろけていくのを感じた。そしてそれに抗おうとも思わなくなっている。マジックハンドはその感情をさらに加速させようと、セフィーナのピンと尖った耳を責め立て始めた。
「ハッハァぁぁあっっそんなとこっきひゃないのにぃ……ひゃめっひゃぁぁぁっっあははは……ふぁぁぁああああん!! みみ、ひゃめえ…………」
人間とは違うエルフ族の耳は彼女達の種族限定の性感帯なのであろうか? 快感に打ち震えるかのようにガクガクと足が体重を支える力をなくし始め、ついには体を万歳状態に拘束するマジックハンドに預け、自身はぐったりと足を崩し、項垂れ、その身に受ける快感交じりのくすぐったさを甘受していく。
指の動きに合わせてビクンビクンと身体を無意識に飛び跳ねさせるセフィーナ。そんな彼女の身体を、マジックハンドは好きに撫でさすっていく。
「くぁぁ……あはぁぁあ……おっぱい、いじめちゃらめぇ……へんに、なるふふふふふふふ、ふあぁぁあ!! はひひひひひひ! くひぃぁあああああん!!」
全くと言っていいほど発達していない二つの双丘をマジックハンドが撫で上げていく。『そういう事』を全く知らないエルフ族にとって、その刺激は余りにも強烈で、危険すぎた快楽だった。
このまま身を任せていたい。もっとこの感情を味わっていたい。呆けた頭でそんなことを考えるセフィーナでいたが、この拷問洗浄機は彼女の思惑通りに事を進行させない。
突然、マジックハンドはそれまで散々行っていた石鹸の伸ばし行為をやめ、彼女の両腕を掴むマジックハンドだけを残し、彼女の身体から一斉に離れた。もう石鹸を塗る必要がなくなったからだ。その証拠に彼女の身体は白にまみれ、柔肌は既に泡で隠れてしまっている。
だが、セフィーナは急に自分への愛撫をやめたマジックハンドに不満を覚えた。もっとやって欲しい。そんな感情が彼女の心を支配していく。
しかし、マジックハンドは彼女のその意に反して手を近づけさせはこなかった。
その代わりといった具合に、いくつかのマジックハンドが手に持ってる大きなブラシを彼女の裸体へ接触させ、汚れを落とすような上下運動を引き起こす。
「はぁ……はぁ……うぁ、……あ、も、もっと…………、っっぁあひぃ!? ぎひぁぁああああああああああああ!!! あ、あぁあああはっはははははははははははは!! ま、まってくらひゃっっあーひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
ブラシによる強烈なくすぐったさを伴う洗浄活動は、気持ち良さでトロンと虚ろになっていた目を一気に見開かせ、体全体に迸ってくる感情がセフィーナの口から獣のような慟哭を上げさせ。ビクンビクンと、先ほどの気持ち良さの痙攣とはまた別の感情から発生した痙攣を引き起こし、苦悶に満ち満ちた呂律の回らない笑い声を彼女から噴出させた。
石鹸を塗った後は、ブラシによって体をこすらなければいけない。エルフ族の知らない常識を今、彼女は身体に叩き込まれていた。勿論、くすぐり拷問器具の名を持つ通り、とてつもないくすぐったさを同時に与えながら。
「ゴシゴシらめえええ!! ひゃめっっひゃめへえええへへへへへへへへ!! うぎゃははははははははははははははは!! あはっっあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! いや、いやぁぁあああん!!」
石鹸による滑り気を存分に帯びたその責めは恐らく今までのマジックハンドのどの動きよりもくすぐったいのだろう。
怪我をさせないように柔らかい毛で構成されたブラシが彼女の身体を一往復する毎に、あはははと可愛く笑い悶えながらピョンピョンと飛び跳ねたり、許された範囲での逃亡を試みようとする。
だが、それで逃げれたなら彼女はここまでマジックハンドの蹂躙を受けているわけがない。そこから解る答えは、逃げられないというただ一つの解答のみだ。
どこまで逃げても、その範囲は極僅かであり、極僅かである限り、マジックハンドは決して彼女を逃がしはしない。
「やわらかいのがおなかにったくさんおにゃかにいいいいひひひひひひひひひひひ!! ま、まままままってええええへへっへへへへへへへへ!! うごかしゃないでっっくるっひゃううううううう!! あっはははははははっあははははははははははははは!!」
右に逃げれば左のブラシがお腹をさすり、悲鳴を上げながら腰を引かせれば、今度は後ろで待機しているブラシが背筋を擦り上げる。
その背中から押し寄せるくすぐったさに反応して反射的に身体を前に押し出すと、待ち受けていた無数のブラシがセフィーナの柔らかいお腹を無差別に洗い始めた。
お腹をいじめる沢山の毛に耐えきれず、またもや体を後ろの引っ張る。そうすれば今度は後ろで待ってたブラシが、いらっしゃいとばかりに彼女の背中をブラシでゴシゴシと洗い始める。
「せ、背中ぞわぞわしますぅうふひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!! や、おねがいひひひひひひひひひ!! おねがいだからっっんぁぁああああああん!!!」
拷問器具は、決して彼女に安息も逃げ場も与えはしない。どこに体を持って行っても、その先には必ずブラシが待ち受け、やってきた彼女に洗いくすぐりを施行する。その標的は上半身、下半身はもちろんのこと、足の裏もしっかりとブラシの洗浄範囲となる。
彼女がバタバタと暴れた時に生じた床と足との隙間に、すかさずマジックハンドはブラシを潜らせ、ワシャワシャと石鹸まみれの足の裏に付着している汚れを無理やりこそぎ落としていく。
「あ、あしいやああああああああああ!!!! それ動かすのひゃめへくらはひひひひひひひひひ!! ぎひゃあああああああああああああ!!! あ゛ははははははははははははははは!」
ここにきて、足を動かして僅かにくすぐったさを逸らす事すら封じられた。動かせば、その隙を突いたブラシからまた新たなくすぐったさを招く結果となってしまう。
そうなると、セフィーナに残された選択肢は、足を床にしっかりとつけて耐え忍ぶ事だけとなる。けれど、その辛さは彼女が予想していたよりもずっと辛辣で、やっちゃだめだとわかっていても、つい条件反射で両足をバタバタさせて暴れてしまう。
そしてまた、強引に差し込まれたブラシに足の裏くすぐられ、くすぐったく感じなくてもいい箇所からくすぐったさが伝わる。そんな悪循環を繰り返していた。
その悪循環をさらに加速させるように、ブラシは万歳状態で動かせないセフィーナの両腋の下をゴシゴシとくすぐり始めた。
彼女のどの部位よりも汚れているから、どこよりも丁寧に、長く、執拗に洗うようにとインプットされた、洗浄用途の他にも、女性拷問具としての機能を持たしたその柔らかい毛が無数に生えそろっている、そのブラシで。
「わ、わきぃいいいいい!! ひゃめ! それは!! ゴシゴシで腋くしゅぐるのひゃけはああああはっははっはははっははっはははははははははっは!! い、いひゃああああはっははははははははははははははは!!」
ブラシがセフィーナの腋の下に触れ、上下運動を開始した瞬間から、セフィーナの悲鳴は群を増して大きくなった。
絶えず迫ってくる笑いの苦しさにこれまで以上に身体を揺するも、万歳状態にされてる腋の下だけはどうあってもブラシから逃がすことは出来ず。どうやっても逃げられない辛さでさらに叫び声と嬌声が大きくなる。
「あはははは!! やっそれやらあああっははははははははははははははははははははは!! やめてぇ! やめてひゃめひぇあひゃああああははっはははっはははははははははははははははは!! ひゃははははははははははははは!」
ギュっときつく閉じられた瞳からは涙がポロポロと溢れ、呂律はろくに回らなくなり、喉はもう枯れててもいいはずなのに、口からとめどなくあふれる笑い声は未だ衰えを見せず、最初に笑い始めた時と同じ可愛い笑い声で今も苦しめられている様子を語る。
それでも腋の下を擦るブラシはその作業を続ける。緩むどころか、擦る速度をさらに上げて、これでもかと彼女を苦しめていく。
「ふしゃふしゃでいじめなひれ!! おにぇがひれふふふふふふふふふふ!! もうやっあはぁあああはっはははははははははははははは!! はなしっもうはなしひぇくらはいいぃいいひひひひひひひ! ふぎゃぁぁあははははははははははははははッッ!!」
無数の毛が腋の下のあらゆる場所を刺激する。
ブラシの上への運動で、腕の付け根の全体を一通り楽しんだと思ったら、そこからの流れるような下への運動で、今度は彼女の腕の付け根の窪みを一気に何本もの毛が通り過ぎ、そこをほじくり、こねまわす。とても笑わずになんかいられない。
泡による滑りも合わさって、徐々に腋の下が過敏になってきているのがわかる。だが、それを抑えることも、止める事もセフィーナには出来ず、只々送られてくるどうしようもないくすぐったさに悶え狂った。
「ヌルヌルが!! ふしゃふしゃがああああはっはははははっははははははっははははははは! こ、こんなのむりぃいいひひひひひひひひひひひ!! ぐぎい゛い゛い゛い゛ッ! やはああははっははははははははははっあははははははははははははははは!」
一本一本が十二分なくすぐったさを持って彼女に襲い掛かる。
半狂乱になって腕を下ろそうと全力を込めてみるも、マジックハンドの拘束は頑丈で、少しとして腕を下げさせてはくれない。身を出来る限り捩ってみても、ブラシの毛の量は圧倒的でどう動かしても確実に触れられている。
逃げ場のないくすぐったさ。それでもなんとか逃げられないかと淫らなダンスを踊り続ける。その姿はとても妖艶だ。
踊っているのが少女と呼ぶべき年齢であろうとも、色っぽいのには変わらない。
「むりっむりいいひひひひひひひひひ!! 耐えられません~~~~~~~~っっくあああはっはっはははっははははっははははははは!! とめて、この手とまっひぇえええへへへへへへへへへへ!! あ゛あ゛あ゛はははっはははははははははははは!!」
勿論、腋を擽られている間にも、ブラシはわき腹、お腹、背中、足などにもしっかりと群がっており、全身を擽られ続けるセフィーナ。
もうかれこれ十数分程度くすぐられているが、これもエルフ族の特性なのだろうか、いつまで経ってもくすぐった時の反応が初めてくすぐった時と相変わらず新鮮で、男を楽しませる悶え方をしてくれている。
「く、くくくくくくすぐったいぃいいいい!! 全身くしゅぐっっいひゃあああはっははっはははっはははははははは!! くしゅぐっひゃいれふぅううふふふふふふふふふふ!! んああああははははっははっははははははははは!!」
泡による洗浄機能はもう直に終了を迎える。しかし、そう間を置かずに、マジックハンドの手のひらから小さな穴が開き、そこからくすぐったくなるように調整されたシャワーが彼女の身体を濯いだり、頭髪の洗浄を行ったりと、この拷問器具がその役目を終えるのはまだまだ先の話である。
セフィーナの奴隷生活はまだ始まっていない。この洗浄が終わってから、始まるのだ。